ボルネオ自然保全メールマガジン

 
 
 
 

ボルネオの自然の素晴らしさ、そこに住まう人々と暮らし、自然を守るための国際協力活動とその喜び、自然保全に従事する人々などを紹介することを目的にBBECに参画するJICA日本人チーム(専門家、青年海外協力隊員)が最新情報をお届けします。

ボルネオ生物多様性・生態系保全(BBEC/ビーベック)プログラムは、マレーシアのサバ州政府と国立サバ大学が共同で行う総合的な自然環境保全事業に対し、日本の政府開発援助(ODA)実施機関である独立行政法人国際協力機構(JICA/ジャイカ) が2002年2月から2007年1月までの5年間技術協力を実施しているものです。
 
 


 
 
『ボルネオ自然保全メールマガジン』サンプル

 
 
     
 

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■■■ボルネオ自然保全メールマガジン第43号■■■

1. カエルな政治家たち
2. 男前のシュモクバエは目が離れてる!?
3. 野生生物局副局長:ローレンシウス・アンブ氏
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1. カエルな政治家たち
草野孝久

全国統一選挙が終わった。町は虚脱感に溢れている。役所はどこもガラーンとして開店休業状態。明日は、与党連合の大勝利を祝って、祝日になってしまった。
「サバの選挙はカーニバルのようなものだよ」官房長官が2週間ほど前に言ったとおりだ。町や道路はポスターやバナー大学の文化祭で見るようなロケットの模型など、政党のシンボルで飾り立てられた。どこかの国のように危険なことは何もなかった。
数カ月前から人々は選挙のことをあつく語り、いつくるかいつくるかと手ぐすね引いて待つ。
政府はなかなか選挙の日程を発表しない。
与党連合の守りを固めていたようにも見える。
公示される前から、どこの党が与党連合に入る入らない、与党連合はどう議席を割り振るかが大きな関心ごとだった。
どうやっても野党に勝ち目はないように見えた。
与党連合が選挙区ごとにどの党の候補を立てるかを割り当てると、その割り当てに入れなかった数人の候補は与党を辞めて無所属で選挙に出た。党側は、それらの候補を除名した。

サバでは、コロコロと所属する政党を変える政治家がいるそうな。
そういう政治家をここでは「カエル」とよぶ。
BBECではサバ大学で「カエル展示会」や「両生類セミナー」を実施したが、この手の時には必ず話題になるのがこの話だ。
「Frogs of Borneo(ボルネオのカエルたち)」という本の話をしようものなら、公務員は腹を抱えてゲラゲラと笑い転げる。
ボルネオのカエルたちと言うと、政党をコロコロ変える節操のない政治家たちのことを揶揄する意味に聞こえるので、おかしくてたまらないのだと言う。

1996年までサバ州は、いつぞやのメルマガで紹介したパイリンさんが党首の「サバ統一党」が治めていた。サバ統一党は、カダサンドゥスン部族を中心とした地元原住民たちの支持を得て10年近く安定していた。しかし、国政はマハディール氏による「UMNO」を中心に「バリサン・ナショナル」という与党連合が勢力を伸ばしていた。1996年の選挙では、サバ統一党が僅差でサバ州議会を押さえたのだが、選挙結果が公表され組閣に入ろうと言う矢先、3〜4名の当選者がバリサン・ナショナルに寝返ったのだそうだ。それでパイリン内閣は崩れ、今の与党連合が首席大臣のローテーション制で治めるようになったと言う。その時、寝返った政治家たちは、まるで一つの蓮の葉から次の蓮の葉に飛び移るカエルのようだと言うわけ。その後も、その時に風向きを見ながらピョンピョンと政党を変える政治家が結構な数いるらしくて、サバでは「フロッグ」というとカエルな政治家たちのことを意味する。

それもそのはず、政党間の政治的立場はあまり違いがなく、今回の選挙でも、どの候補も「私が当選した暁には、この地区に開発をもたらします」という演説をして歩いたことが新聞を見れば分かる。残念ながら、環境は選挙の争点にはならなかった。

実は、そのパイリンさんも2002年隠居前のマハディール首相がサバにやってきて折に和解。今回は与党連合に合流しての選挙。サバ州では与党連合が60議席中58席を占める圧勝だった。

某高官から聞いたとっておきの「カエルな政治家」のお話。
彼は、その1996年の事件で新与党にカエル飛びし、その後も政党を何回かホップし大臣の席まで獲得した御人。
今度の選挙で彼は、「私はカエルだ」と居直った上に、「でもこのカエルはいいカエルだ。みなさんに開発をもたらす」とやって大喝采を浴びていたそうな。彼も当然、再当選を果たした。

2. 男前のシュモクバエは目が離れてる!?
館卓司

シュモクバエという種類のハエの仲間は、変わった形をしています。顔のアップを見ると両端の丸いのが目(複眼)で,中央の下側が口になります.皆さんは,ハエと聞くと,不潔とかうるさいとか,目障りなど,不快に思われることが多いと思います.そのようなハエの仲間も確かにいますが,ハエの仲間全体から見れば,一部にすぎません.

このシュモクバエの仲間は,ボルネオやアフリカなどの熱帯域を中心に約170種が分布しています.そのうち多くは,目が大きく離れています.日本でも,沖縄に1種類分布していますが,あまり離れてはいません.

人間では,性差に関係なく,目の離れた人やそうでない人などが見られます(私の目の幅はやや狭いようです)が,この種類では全体的に,オスの方がメスよりも離れています.

なぜこのように目が離れているのでしょうか?どのような役目があるのでしょうか?明確な結論はまだ出ていませんが,考えられている説があります.それは,目の離れているオスの方が,モテるという説です.2頭のオスたちがメスの奪い合いの喧嘩をする場合,お互いに顔を寄せ合い,どちらの目の幅が広いかによって,勝敗が決まります.離れた目を持つオスが,多くの場合勝ちます.このようなオスが多くの子孫を残すことができ,少しでも離れた目を持つオスが生き残ってきたと考えられています.
このように,目の離れたハエは,ほかのグループ(ショウジョウバエやヒロクチバエなど)でも見ることができます.このハエたちにとって,目が離れていることが,「男前」ということのようです.


3. 野生生物局副局長:
ローレンシウス・アンブ氏
坪内俊憲

ローレンシウス・アンブ氏はサバ野生生物局設立準備に関わり、そのきっかけで新生野生生物局に配属され、マヘディ局長とともに15年野生生物保全管理をリードしてきた人物です。

1956年クロッカー山脈タンブナン渓谷生まれのドスン族出身。小学校5年までミッションスクールで勉強し、その後コタキナバルのサバカレッジに進みました。78年から中学校の先生、税関職員、マレーシア航空などの職を経験したあと、82年から4年間アメリカのイリノイ大学で動物学、野生生物管理学を学びました。その後、サバ州に戻り、民間コンサルタント会社で研究コンサルタントを務め、その時、88年野生生物局設立に関わりました。

そして、野生生物局職員になりフィールドオフィサーを経験したあと、91年から副局長としてマヘディ局長の右腕となって野生生物保全管理に勤めてきたサバ州の野生生物管理のベテランです。

ローレンシウス氏はフィールドとともに野生生物保護区の研究にも積極的に関わってきました。BBECの対象地域クランバ野生生物保護区はローレンシウス氏の研究対象フィールドです。氏はフィールドでの業務経験から、サバ州における野生生物は再生可能な資源として考えていかなければならない課題であると結論しています。

サバ州では住民の60%は農村部に住み、20%は政府の定めた貧困ライン以下の生活をしています。このような状況では野生生物保全行政において不可欠なことは野生生物が十分住民生活に寄与していかなくてはなりません。

ローレンシウス氏は現在サバ州は野生生物から得られる便益がなかなか地方の人々に届かないことをとてももどかしく感じています。そして、政府を説得することがとても難しく、もっとも困難な仕事といつも感じています。

現在も、野生生物局としてセガマ河下流域を野生生物保護区として設定するべく提案し、政府各機関、政治家など積極的に説得していますが、なかなか思うように進んでいません。提案した地域で非合法伐採が発覚したりしており、なんとか早急に法的な保全の網をかけ、野生生物保全を手段とした住民生活の向上、コミュニティを発展するべくマヘディ局長とタッグを組んで努力しております。
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■本メールマガジンは不定期に私たちの活動をお伝えします。執筆者個々人の考えをお知らせしているものですので、いずれかの組織や団体の意見を代弁するものではありません。

■発行元:独立行政法人国際協力機構(JICA/ジャイカ)マレーシア「ボルネオ生物多様性・生態系保全(BBEC/ビーベック)プログラム」日本人チーム
◎発行責任者:JICA/BBECプログラム チーフアドバイザー 草野 孝久

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