サバ州の野生生物局保全のパイオニア
野生生物局長:マヘディ・アンダウ氏
坪内 俊憲

マヘディ・アンダウ氏はサバ州の野生生物保全に30年以上も従事している人です。30年前、サバで野生生物や環境の保全ということが余り一般的でなかった頃からの野生生物保全のパイオニア的な存在です。

1951年キニンガオ生まれ、サバ州第2の都市サンダカンで育ちました。サンダカンの聖マリー中学では成績はすべて0の最低(本人の弁)。が、コタキナバルのラサール高校に転校して発奮。すべての成績をA レベルにして卒業。カナダ・オンタリオ州のゲルフ大学で71年から野生生物管理学を学びました。

帰国後、サバ州政府森林局の野生生物課で主任野生生物管理官となりました。そして、アブラヤシ・プランテーションのアジアゾウ被害のコントロールなどに汗を流しました。1979年から3年間かけて、まったく何もないところから最初の野生動物調査を指揮しました。当時、野生生物課には車が一台しかなく、調査そのものがとても無謀な計画でしたが、調査の結果、Ulu Segama, Tabin, Kalabakan, and Deramakotなど保全に重要な地域を同定しました。

1988年、野生生物課は森林局から分離独立して環境・観光・科学省の下に組織され、マヘディ氏は最初の野生生物局局長として任命されました。独立機関となったことで、これまでの情報収集に限定されていた状況から、野生生物管理、環境教育へと局の業務を大幅に拡大しました。

サバ州の田舎では、野生動物を補完食料源としてしか認識しておらず、保全という考え方を地方で根付かせるのは大変な業務でした。都市部の人々の間でもまだまだ保全という考え方が根付いているとはいえない状況で、15年間、野生生物とその生息域保全の責任者としてマヘディ氏は先頭にたって日々取り組んでいます。

BBECプログラムにおいては、野生生物生息域管理コンポーネントの長として、意思決定の最終責任者として活躍しています。生息域管理コンポーネント活動ではタビン及びクランバ野生生物保護区を対象としており、その間に広がるセガマ河下流域湿原をサバ州で始めての陸域の「野生生物保全地域」とする提案を州政府に提出しました。

生息域管理コンポーネントの上位目標であった保護区新設の提案書提出が早くも一年目で達成したのは、マヘディ局長の迅速な決断があってのことです。この「野生生物保全地域」というのは、伝統的な村落の生活と野生生物の双方を持続可能な形で保全しようという、サバ州では新しい試みです。実現に向け、マヘディ氏の社会の各層全体への働きかけに期待がかかります。

マヘディ局長は、8月4日から約10日間、BBECプログラム協力の一環で、釧路湿原や日光国立公園などで視察研修を受ける予定です。

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