ジャーナリストたちの意識の変化
環境啓発コンポーネントの進捗報告
2004/10/25
環境教育アドバイザー 田儀 耕司

BBEC開始から2年半が経ち、環境啓発コンポーネントでも様々な活動が活発に行われるようになりました。今年は4月から9月までの半年で、ワークショップを3回(教員、政策決定者、ジャーナリスト)、セミナーを1回(開発業者)、スタディ・ツアーを2回(ジャーナリスト)実施した他、BBECに関する展示を3回行いました。ほぼ毎月のようにある活動に疲れたのか、科学技術室の面々からは、「来年度は少しワークショップやセミナーを絞り込んでやろう」という声も聞こえてきました。「まずは活動してみる」をテーマにしていた今年前半の目標は、ある程度達成できたように思います。

活動を実施する中で徐々にですが、サバの人たちの中に変化も見られるようになってきました。これまで5年間の事業での成果を何にするのかが課題だった科学技術室では、ワークショップ、セミナー、スタディ・ツアー等の活動を通じ、サバ州内での環境教育の活動計画を作ることを考えるようになりました。
サバの人たちは活動を実施する上で、その活動の実施の意義や背景を考えてから計画し、実施し、次回の活動に向けて見直すというアプローチをほとんど取りません。とりわけ、活動の見直しについては、アンケート調査が数回実施されたものの、アンケートの読み込みはほとんど行われず、参加者が集まった、評判が良かった、成功したという、大雑把な評価からあまり踏み込むことができませんでした。

 科学技術室室長のモクタールさんや、ファティマさんたちも、さすがにこれではまずいと思ったのか、今年度末に活動に参加した人たちのインタビュー調査を実施することになりました。ワークショップやセミナーに参加した学校の先生や村長さんたちが、自然保護に対してどれだけ関心を持ち、なんらかの行動を起こすようになったのか、目に見える成果を期待するのは難しいかもしれません。しかし、参加者からの声を聞き、取りまとめるという作業が定期化することにより、活動の見直し、新たな活動への反映ができるようになると思うのです。

 個々のタスクフォースでも残り2年半の活動とその成果をようやく少し考えられるようになってきました。開発業者タスクフォースでは、9月に行ったセミナーがまとまりなく終わったことから、タスクフォースのターゲットをより一層絞り込んで、アブラヤシ業者など、自然環境保全に直接的に影響を与える業界を対象にするよう、軌道修正しようとしています。政策決定者でも、自然環境保全の政策決定に大きな影響を与えるのは、各行政機関の局長、副局長レベルであるとし、今後はこれらの人たちに焦点を当てた活動を行う方向に動いています。一番早くから動いていた教員タスクフォースでは、学校の先生たちを巻き込んで、学校で使える教材を開発するという活動や、実際に学校で環境教育を教えている先生達の授業を録画し、ビデオCDにして各学校に配布するという活動が行われ、環境教育のツール開発に動き出しています。

5つのタスクフォースの中で最も大きな進歩が見られたのは、ジャーナリスト・タスクフォースです。サバ・ジャーナリスト協会との共催で行った8月のワークショップの後、ジャーナリスト達の啓発のためのスタディ・ツアーが2回開催され、クロッカーレンジ公園及び、セガマ川下流域にそれぞれ7名、5名のジャーナリストを派遣しました。スタディツアーの結果、新聞で特集を組むジャーナリストも何人か現れました。また、8月末から10月上旬に行われた国別特設研修にジャーナリスト2名が参加しました。10月13日に行ったタスクフォース会議では、研修から帰国したニュー・ストレイツ・タイムス紙のジャスウィンダさんが、「環境報道をする上で、私たちジャーナリストも自然保護のいろはを学ぶ必要がある」と言って、クロッカーレンジ公園での一日業務見学会を企画したのには少し驚かされました。

さらに、ジャーナリスト協会長のジョニストンさんは、自然保護に関する記事を書いたジャーナリストたちへの賞の内容として、「今後、自然保護の記事を書ける人がサバにも増えて欲しい」として、賞品ではなく、研修の設置を要望してきました。「今年は2名もJICAで研修に出してもらったが、来年以降、研修に出してもらえるという保障はない。また、1ヶ月の研修に一人送るよりも、10日の研修に5人送れる方がよほどサバのためになる。研修は4−5年も続けば十分だろう。その後は研修を受けたジャーナリスト達が後輩を育成してくれるだろう。サバ・ジャーナリスト協会として、なんとか日本に自然保護の一般的な知識と環境ジャーナリズムを取り入れた研修をお願いしたい」と私に依頼してきました。サバ・ジャーナリスト協会は、地元の助成団体に相談するつもりでいますが、日本で研修を受け入れてくれる民間企業かNGO、また、日本の滞在費を世話してくれそうな企業を探すこと等、難題を出されたものの、ジャーナリスト協会の前向きな変化に少し嬉しく思っております。

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