離任のご挨拶
2005/3/8
草野 孝久

早いものであっという間に3年間が過ぎ、チーフアドバイザーの職を離任し、3月3日に帰国いたしました。
 中間評価で高い評価をいただいたこと、マ側の実施体制、特に州政府の9機関10郡役場、連邦政府の2機関、1NGOという実施機関同士の連携強調体制が確立したこと、民間企業や国際・地元NGOの参画も見据えた保全に向けた統合化構想の明確化ができたこと、国際セミナーも成功裏に実施できたことなどから、私の初代チーフアドバイザーの役割は遂行できたと判断し、残り2年間の運営管理へのアドバイス役を次の人にお願いすることになりました。
 このBBECプログラムでは、技術協力のあり方として私がライフワークとして取り組んできた多くの課題について満足のいく回答を得られた3年間でした。これはひとえにマレーシアの同僚たちが有能で、私たちと一緒にこれらの課題に取り組んでくれたことがあります。加えて、有能な日本人専門家たちの熱意のこもったアドバイスがあったからです。また、JICAの内部そして外部からもたくさんの方々にご支援をいただき励ましていただきました。メルマガの読者の皆さんからの励ましも大変にありがたいものでした。この場をお借りして、深く御礼申し上げます。
 国際技術協力を生涯の職とする者にとってBBECプログラムがどのような意味があったのか、その主なものを以下に列記してみます。
 (1) 持続可能な開発への援助において、特に途上国の貧困問題、地域間あるいは階層間の経済格差是正に向けた援助を効果あるものにするためには、自然資源の管理行政改善を重点的要素として取り組むことが重要であることが明確にされた。
 (2) 生物多様性保全という世界的規模の課題(一般にはわかりにくいテーマだが)への援助に取り組み、具体的なアプローチの方法や成果をあげるための方策が実例として示された。この事例は国際的にも成果を挙げている事例が少ない中、注目を浴びた。
 (3) 援助のプログラム・アプローチの具体化事例として、持続的な開発にかかる国家的課題に対しての包括的な取り組み、連携調整のあり方、相乗効果の上げ方などについての手法を実現した。このことは、技術協力が国家(BBECでは州)の行政改善への協力を最大限の効果と効率をもって行うためのアプローチが実例として示されたことを意味する。
 (4) JICAが1980年代末期より取り組んできたプロジェクト・サイクル・マネージメント(PCM)について、4つのプロジェクト(BBECではコンポーネント)および上位のプログラムレベルでの運営管理への応用、そしてその効果を最大限に発揮した実例が示された。
 (5) 技術協力の現場から発信する広報のあり方として、多角的な方策が実現された。
 (6) 援助への、相手国政府大臣・高官、政治家、財界要人、NGOなどの理解と支援を最大限に得ることの方策と効用について実例を示すことができた。
などなど。
 今後はJICAの本部にて、これらの成果を参考にし、制度や組織、手法など様々な側面で技術協力の効果と効率を向上させる上で反映させていきたいと思います。新たな職務は直接環境分野の業務に携わるわけではありませんが、自然環境課題チームのアドバイザー的役割もさせてもらえるようです。また、自然環境保全と村落開発はわたしのライフワークの一部として今後も勉学に努めたく、また自然保全の分野でお世話になった方々との交流も可能な限り続けていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

電子メールアドレス <Kusano.Takahisa@jica.go.jp>

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