BBECプロジェクト訪問レポート
岩ア真紀子(JICAアジア一部)
今回、マレーシアで開催された平和構築セミナーへの出張にあわせBBECを訪問する機会を得ました。これまで、大自然を相手にするようなプロジェクトは訪問したことがなかったので、一体どんなところでどんな風に進められているのだろうととても楽しみにしていました。

1月末の土曜日、クロッカー山脈公園のマフア地区にあるサブ・ステーションと永久調査区を訪問しました。現地へ行く道々、ランやシダ植物、様々な樹木が茂り、また人家の周りにはラン、バナナやパパイヤなどのフルーツの樹が植えられ、熱帯の様相を呈しています。しかし、この周辺は急勾配なので影響は少ないものの、場所によっては一面のオイルプランテーションであったり、輸出木材として伐採されたりしているそうです。

コタ・キナバル市内から約二時間で現地に到着です。サブ・ステーションで働くスタッフによると、近くに滝があり今日は60人くらいが水遊びに来ているようです。彼らはプロジェクトで整備した遊歩道や休憩所を使用しながら、川原で(サバ風?)バーベキューをしたり、泳いだりと楽しそうです。私からすると不思議な感じもしますが、余りにも身近だからでしょうか。これまで地元の人は森や滝などの自然を、余暇を過ごす場所としては認識してこなかったようです。残念なことに、少しだけゴミが落ちているのを見つけました。今後は、自然に親しむということに加え、自然を保全することにも目が向くようになればいいなと思いました。

そして、永久調査区の熱帯雨林。実際に見るのは初めてです。背の高い樹がそびえ、鬱蒼とした樹冠の隙間から日が差し込む森を分け入っていくと、杭と紐で囲った調査区にたどり着きます。前日、プロジェクトサイトの一つであるサバ大学を案内していただきました。サバ大学では青年海外協力隊も入り、標本のデータベース化や植物の研究などの面で協力をしています。棚にずらっと並ぶ標本の多くがサバ州内から採取されたそうです(例えば昆虫は90%)。その時は本当にこんなに多種多様な動植物が生息しているのかな?と半信半疑な気持ちでしたが、実際に足を運び確かにこの森であれば・・・と納得です。

ボルネオ、BBEC訪問は初めて尽くしでとても印象深いものでした(ぬかるんだ道で思いっきり滑ってしまいましたが、初めてラフレシアも見ることができました!)。そして、数年前、エコツーリズムを考えるイベントに参加した時のことを何度も思い出しました。

そのイベントは、日本のまちづくり、村づくりにおけるエコツーリズムの可能性をテーマにしたものでしたが、国際協力の分野にも共通する重要な視点に何度もはっとさせられました。地域の宝を探して、それをエコツアーとして対外・対内にアピールすることで地域の活性化に繋げる。参加者の共通認識としてこのような認識が出来ていた頃、一人のパネリストから次のような発言がありました。「宝探しは大切だけれど、誰のため、何のために宝を探すのか?宝探しは、地元の人の存在を無視した一方的なものではダメだ。」ボルネオの自然は貴重で多様な種を失ったら、二度と戻ってこないかもしれません。気候変動や地球環境という点からも熱帯雨林は重要です。ボルネオの自然はまさに宝で、この森や風景が壊されずに、たくさんの生き物の住処として、多くの植物が茂る場所として残って欲しいと強く思います。

しかし、最終的にはそこで暮らす人が自分達の暮らす場所をどうしたいか、それが伴わなければ、外からの関与はただの押し付け、お節介になってしまうかもしれません。内外の多くの利害関係者と広大なプロジェクト対象地、自然相手のプロジェクトですから、なかなか大変なことだとは思いますが、今回のJICAの協力が、調査研究、公園管理などの面で貢献するとともに、人々が自然に触れ合う場を提供することなどによって、サバ州の人々にとって今後のサバ州の姿をもう一度考えるきっかけになれば素敵なことだなと思いました。

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