サバ州諸機関の連携を強める1台の機材
2005/7/22
谷口 光太郎(業務調整)

 BBECプログラムでは、日本人専門家を現地に派遣したり、マレーシアのカウンターパートを日本に招聘して技術研修を行うなど、日本側から様々な投入を行い、プロジェクトの目標達成を図っています(もちろん、マレーシア側も、日本人専門家と一緒に働くカウンターパートを配置したり、日本側に事務所を提供するなど、必要な措置をとっています)。機材の供与も、また重要な投入要素のひとつです。これまでに、標本を収蔵するための可動式標本棚、野生生物モニタリング用の無線機器、公園管理のための山火事消火装置など、それぞれの目的に応じた機材を供与してきました。

この度、BBECプログラムに参画している実施機関のひとつであるサバ州政府土地管理局に対して、航空写真用のカラープリンターが供与され、その引渡し式典が過日行われました。マレーシアでは、地図情報は軍事利用される恐れがあるので、航空写真は撮影自体が厳しく制限されています。撮影されたネガも、サバ州では土地管理局が唯一現像する権限のある機関なのです。これまで土地管理局では、旧式の白黒印刷機しかなく、数倍の情報量をもつカラー航空写真は印刷できませんでした。カラー印刷できる機材は、マレーシアでは連邦政府機関であるマレーシア測量・地図作成局だけが所有しており、サバ州からはこれまで職員がネガを持参して何週間も順番待ちをしていました。その上、連邦政府の機材も2003年11月に故障してしまい、サバ州野生生物局が航空撮影した保護区のネガ、森林局が撮影した数万枚のカラー航空写真は、現像することが出来ないままでした。

今回の機材の供与にあたっては、BBECプログラムの活動について最優先で処理することを約束してくれ、早速、野生生物局が待ちわびた航空写真460枚が鮮明なカラーで印刷されました。これでようやく、セガマ河下流域の新しい保全区の野生生物生息地地図ができると、関係者一同笑みがこぼれました。また式典では、BBECプログラムの運営委員長を務めるサバ州政府官房長が除幕を行い、日本の協力について感謝の言葉を述べました。報道関係者も多数詰め掛け、翌日には、日本政府の協力であることを示すODAマークとJICAのステッカーが貼られた機材を関係者が取り囲む様子が、写真入りで新聞各紙に掲載され、高い広報効果もありました。

今回供与した航空写真用カラープリンターは、保護区管理や生態調査、自然環境保全のための評価や監視など、幅広い活動に利用でき、サバ州野生生物局、森林局、公園局、サバ大学など、BBECプログラムに参画する関係機関やその他のサバ州政府機関による活用が大いに期待されています。土地管理局の職員も連日残業し、これまでたまっていたカラー航空写真を印刷してくれています。

1台の機材をきっかけに、BBECプログラムに参画する多数の機関が今まで以上に連携を図り、一丸となって、自然環境保全行政に取り組んでいくことを願っています。

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