より戦略的な環境教育活動へ:第2回政策決定者ワークショップで学んだこと
2005/3/28
田儀 耕司(環境教育)

 

 「そろそろ、2回目の政策決定者ワークショップをやらなくちゃねぇ」。年が明けてすぐの1月、科学技術室のファティマさんが相談を持ちかけてきました。2回目ということでもあり、「今回のアレンジは全て任せますよ」と、政策決定者タスクフォースのリーダーを務めるファティマさんに一任し、準備が滞りなく進むか見てみることにしました。

 今回のワークショップでは、ペナンパン郡、パパール郡、ボーフォート郡の3郡役場関係者と村長さん約30名を対象とし、BBECプログラムとクロッカー山脈公園の管理に関するプレゼンテーションを行った後、前回6月のワークショップで好評だったロールプレイで自然環境保全問題の難しさを学び、最後に公園局クロッカー山脈公園長のマイポールさんと一緒に、クロッカー山脈公園の管理について考えてもらう時間を取りました。さらに、ジャーナリストタスクフォースを通じて、ジャーナリストにも参加を呼びかけ、取材をしてもらうのみならず、一緒にクロッカー山脈公園の管理について考えてもらう機会を作りました。

 1月下旬から2月中旬まで一時帰国をしていたため、準備の進捗状況に不安を感じていたのですが、各郡役場に招待状を送り、会場の確認を済ませてくれており、2月16日に職場に戻った時には、発表者との打ち合わせを残すのみとなっていました。

 3月18日、会場への道に迷って参加者の一部が遅れたため、ワークショップの開始が40分ずれ込み、先行き不安なスタートとなりました。2本のプレゼンテーションに続いて、森林局のベルナデッテさんがロールプレイを行いました。このゲームでは、ゲンティン高原に新しいリゾートホテル建設が計画されたことに対して、担当行政機関、地元のコミュニティ、都市の住民、自然保護団体、木材伐採業者等に分かれて、それぞれのグループに分かれた参加者がホテル建設に賛成か反対かの立場を表明し、他のグループへの反論を行った後、最後に担当行政機関が結論を述べるという、基本的には前回6月と同様の形態をとりました。

 サバの人たちは会議の場ではあまり発言をしません。しかし、ゲームと分かっているからなのか、エンターティナーとしての気質が騒ぐのか、ロールプレイではユーモアを交えて、活発に意見を交わすようになります。今回は水道局から参加のジェームズさんが木材伐採業者の役を上手に、少し滑稽に演じてくれました。

 昼食後、ファシリテーターがマイポールさんに代わって、1時間にわたってクロッカー山脈公園の管理についての議論がなされ、午後4時に無事閉幕しました。

 翌日の土曜日には、地元のボルネオ・ポスト紙に英語とマレー語でワークショップの内容が写真付きで掲載されており、ジャーナリストを招待した成果も見られました。

 今回のワークショップの準備はファティマさんに任せて行ったのですが、参加者が遅れたことを除けば危なげないものでした。他のタスクフォースの対象者であるジャーナリストや環境啓発コンポーネントの活動全体の評価を行っているサバ大学のロバート講師を招待することや、参加者へのアンケートの配布、回収を行うこと等、細部にわたり段取り良く行ってくれたことは、一つの成果でした。

 カウンターパートの自立性が見られる等、成果の大きかったワークショップですが、課題も残りました。まず、ロールプレイで流暢になった参加者の口がその後の議論で再び重くなってしまったことです。ファティマさんによると、プレゼンテーション2本の後の時間は、基本的にマイポールさんとベルナデッテさんに一任していたそうですが、2人の間の打ち合わせが必ずしも十分ではなかったように見受けられました。また、公園管理コンポーネントにも絡んだ活動なのに、スペースの問題等の事情により、公園局の関係者をほとんど招待できなかったのも反省点です。

 今回の課題とも関係することですが、今後、環境啓発コンポーネントの活動計画を他のコンポーネントや関係機関に発表し、より戦略的に連携を図っていくことを一つの目標に掲げていく必要がありそうです。環境啓発コンポーネントだけの問題ではないのですが、サバの人たちは計画を立て、必要な機関と連携をとりながら、戦略的に行動することがあまり得意ではありません。しかし、今回のようなワークショップが計画されていることが数ヶ月前に公園管理コンポーネントにもあらかじめ知らされていれば、同コンポーネントからより積極的な形での協力を期待できたかもしれません。

 同様のことを痛感したのか、ワークショップ後、ファティマさんから、「まずは、環境啓発コンポーネント内でどれだけ連携が図れるのか、各タスクフォースのリーダーを集めて、会議を開きましょう」という提案が出されました。その会議の結果を環境啓発コンポーネントの作業部会のメンバーだけではなく、他のコンポーネントのメンバーにどうやって知ってもらうのか、そして、環境啓発コンポーネントの活動を他のコンポーネントの活動とどれだけ連携していくのか、環境啓発コンポーネントを率いる科学技術室長のモクタールさんのやる気に期待したいところです。

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