ダガット村、郡役場、野生生物局がタッグを組んでのエレファントハイウェイ復活作戦
2005/2/18
坪内 俊憲(野生生物生息域管理)

セガマ河下流域ではタビン野生生物保護区の北部に生息しているボルネオゾウが定期的にタビン川周辺の森を移動します。なぜ移動するかわからないのですが、不足するミネラルを求めて川沿いを移動するのだといわれています。アブラヤシプランテーションがセガマ河流域で開発される以前、ボルネオゾウはかなり上流部まで移動したり、クランバ野生生物保護区を通過してキナバタンガン河まで行っていたことを現地の野生生物局レンジャーは推定しています。

 

 BBEC活動の成果として野生生物局はセガマ河下流域のタビンとクランバ野生生物保護区の間の3,800ヘクタールを野生生物保全域(Wildlife Conservation Area)として提案しました。実現できるとタビン野生生物北部に生息するボルネオゾウの移動ルートが確保できることになります。が、残念ながらタビン野生生物保護区のすぐ北側のタビン川両岸のすばらしい森が150ヘクタールアブラヤシプランテーション開発のために切られてしまいました。そこはまさに、タビン野生生物保護区からのボルネオゾウの移動ルートへの出口に当ります。毎年、そこを通ってセガマ河に出て、セガマ河に沿って移動する出発点です。

 

 このままではボルネオゾウはタビン野生生物保護区からの出口を求めて、あちこちにさまよってしまいます。ダガット村を通ったり、プランテーションを通るかもしれません。河岸林が残っていれば誘導することは可能ですが、完全にプランテーションにされてしまうと誘導は難しくなります。無理に音で脅して誘導すると、40頭の群れがばらばらにプランテーションを動き回って手がつけられなくなります。

 

 この事態に対処するためキナバタンガン郡長補と野生生物局は協力して業者に開発を思いとどまるよう説得を始めました。郡長補と野生生物局副局長はこの動きを支持してもらえるよう州議会議員に訴えに行きました。でも、開発業者はいろいろなところに働きかけていたり、私たちの行動を阻止しようとしたり、しているようです。ボルネオゾウと共生を実現するためには土地問題はなかなか難しい課題です。でも、何とかボルネオゾウの生息域を確保できないと、プロジェクトの目的が達せられないとの思いでいろいろなところへ訴えています。

 

 木が切られてしまったところで観光客、学生さんに協力してもらって行うボルネオゾウの移動ルートを確保する植生の再生事業を働きかけています。今度のBBEC国際セミナーの後の試験ツアーで、エレファントハイウェイ再生植樹を手伝ってもらう計画です。また、苗木一本10リンギット、村の人たちに1ヘクタール当たり1,000本の木を植えてもらう事業の支援をもらえるよう日本でヤシの実洗剤会社の人に協力を依頼しました。最悪の場合でもタビン川両側200メートルの河岸林を再生しなくてはならないと考えています。土地を所有しているといわれる開発業者が合意してくれているかどうかわかりませんが、村の人たちと一緒に行うエレファントハイウェイ復活事業への皆様の協力をお願いします。

 

上へ
閉じる

JICA