多難なオランウータンの森復活作戦
2005/2/15
坪内 俊憲(野生生物生息域管理)

ダガット村の若者が提案してくれて始まったオランウータンの森復活のための植林。去年は試験エコツアーとしてきていただいた関西大学の学生さん、奈良高校OB会の皆さん、新婚旅行できてくれた(旧姓山本)純栄元協力隊隊員、私の家族などと一緒に植林をしました。オランウータンの森復活のために村の若者が用意した苗木のほとんどは彼らがいつも食べているマンゴー、ランブータン、タルラックなどの果物の木でした。若者はオランウータンと自分たちをあまり区別していないことがわかってびっくり。でも、3ヶ月後、ほとんどの木がヒゲイノシシに掘り返されたり、ボルネオゾウが踏み荒らしたりで枯れてしまっていました。枯れた本当の原因を若者たちと検討しましたが、やっぱり自分たちが面倒見ていなかったことが一番の原因と思ってくれました。そして、枯らせてしまった木を村の人たちが地道に復活させてくれているのを見て、私に仕事の意欲がまた湧いてきました。が、彼らがオランウータンの好きな果物の木を植えている横で、150ヘクタールの森がアブラヤシプランテーションのために切られてしまいました。アブラヤシに呑み込まれる森の伐採現場を見て人間の欲はどこまで大きくなるのか、どのようにしたら人と森や野生動物と共生が出来るのかまたまた村の人たちと一緒に頭を抱えました。

 

アブラヤシプランテーション開発のため 新たに森が切り倒されたため、ボルネオゾウの移動が変わり、ダガット村に頻繁に来るようになっているようです。村の人はあまり気にしていないですが、ゾウの数が増えるまえに何とかしなくてはオランウータンの森の復活も難しいと一緒に行ったレンジャーと結論のでない議論を繰り返してしまいました。

 

上流部の森林伐採で緑のダムはほとんど無くなり、アブラヤシプランテーションから流れ出る土砂でセガマ河の川底は浅くなっており、雨が降れば洪水、降らなければ渇水で水位が極端に下がるようになって来ました。先週、これまでに無く水位が下がり、野生生物局のボートを引き上げるキャリアーが川底に埋まってしまいました。4時間苦闘しましたがボートを引き上げることが出来ず、レンジャーは夜中の満潮時に再び引上げ作業をすることになりました。これからは毎回このようなことを繰り返すことを覚悟しなければならないでしょう。川底に埋まったキャリアーを見ながら前途多難なオランウータンの森復活作戦に思い巡らせました。

 

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