サバ州民の自然環境保全意識を向上させるために

2004/12/24
草野 孝久
 BBECプログラムの環境啓発コンポーネントは、サバ州主席大臣府科学技術室を主務機関とし、環境行動委員会(NGO)、サバ大学の社会学部・教育学部・ITBC、サバ財団・森林局・公園局・野生生物局の環境教育部門、連邦政府教育省サバ支局などが合同で、サバ州住民の行動を自然保全型に変化させるためのモデルを構築することを目標にプロジェクトを実施している。

1. 効果的な環境啓発事業を計画する

 環境意識調査や数々のパイロット啓発活動が実施され、これらをもとに行動変化のターゲット・グループとして、教員、ジャーナリスト、開発事業者、政策決定者、非環境系NGOの5グループが選定された。それぞれのグループの行動変化を目標とするキャンペーン実施計画が策定され、ターゲット毎のタスクフォースが編成された。教員に対するベースライン調査が実施され、環境教育についての彼らの意識・行動の現状が明らかになった。またジャーナリストに対するベースライン調査として新聞での環境関連記事のモニタリング調査を実施した。開発事業者と非環境NGOについてのキャンペーン実施計画の内容の再検討を行ってきた。

2. 効果的な一般市民向けキャンペーンが実施される

 教員に対しては、ワークショップ、ニューズレター配布、クロッカー山脈公園や野鳥保護区での教員研修・展示会、環境教材の配布、日本の学校との交流支援などを実施している。サバ州にある22の自然教育センターの最新情報を載せたガイドブック「サバ州自然センターガイド(マレー語)」を作成し、州内のすべての小中学校に配布した。日本の学校との交流活動を通じて、サバ州のモデル校教員達の環境教育に対する関心を高めることを目的として、電子メールやTV会議、日本の中高校生を迎えてのクロッカー山脈公園での交換学習会などを実施してきた。これまで日本からは8校の小中高校、サバ側からは2つの中高校の生徒と教員が参加した。今後は多様な教材やカリキュラム開発に取り組む。

 政策決定者については、サバでの自然保全活動を州議会議員に紹介することを目的として、閣議でのBBECの説明、サバ州議会会期中に州議事堂において展示会を開催した。また、クロッカー山脈公園周辺村落の村長、開発委員長らを招いて自然環境保全のワークショップを実施した。今後は、政府機関の高官らを招待したワークショップやフォラムを企画している。

 ジャーナリストに対しては、行動計画ワークショップと環境ジャーナリスト・セミナーを実施した。ジャーナリストをBBECのプロジェクト・サイト視察に招待し、環境問題や自然保全啓発の報道の必要性を理解させている。3. 実施機関の能力強化を図る

 主務機関の科学技術室の調整・モニタリング能力は、2年間の実施経験と担当者の増員から、ほぼ必要とされるレベルに達している。5つのターゲット・グループに対しタスクフォースが編成された。教員タスクフォースには教育局の参加が必須であったため、教育局をPAC作業部会メンバーとして迎えた。これまで本コンポーネントから計11名が日本での研修を受け、自然環境保全・環境啓発についての知識向上を行った。作業部会メンバーに対しては環境教育教材・プログラムの現状評価と改善方法のセミナー継続している。CPを国際会議に参加させ、生物多様性情報の環境啓発への利用などについて知見を深めるとともに、BBECでの活動内容や成果を発表させている。

成果4:環境啓発のガイドラインと教材を作成する

 自然教育センターガイドブックを、更に自然教育活動内容も含めて改良した第2版を作成中である。今年内には短期専門家が派遣され、現存する環境教育教材と活動内容がレビューされ、それらの改善やより効果的な教材開発の手法が技術移転される。模範的な環境教育を教える教師の指導内容を記録し、授業事例として普及する活動も開始する予定である。

 キャンペーン活動の結果を踏まえて教材をより効果的なものとし、協力終了時までにはサバ州に於ける環境啓発のための中長期的なガイドラインを作成する計画である。

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