ジャーナリストのアイドルKaram Singh Walia
環境ジャーナリズムワークショップ成功に終わる

2004.8.10
田儀耕司

「最後まであきらめるな!」、「政治家をうまく使え!」。TV3の名物レポーターのKaram Singh Waliaさんからは、過激な言葉が次から次に出てきます。

8月3 - 4日の二日間にわたり、サバ大学のキャンパス内で、ジャーナリストを対象としたワークショップがサバ大学、サバ・ジャーナリスト協会(SJA)、BBEC、科学技術室の共催により、開催されました。

SJAから、「環境ジャーナリズムワークショップを開きたい」と持ちかけられたのは、5月のことでした。「ジャーナリストに対しては、プレスリリースを増やすだけで良いんじゃないか」、「あの人たちを一日中ワークショップに繋ぎ止めておくのは難しいよ」という草野チーフの言葉の裏には、昨年9月にジャーナリスト向けに開催したセミナーで、午後の部では参加者のほとんどが退席してしまったという経験が頭にあったようです。ジャーナリストの側からの持ってきた提案をどう生かすのか?ワークショップ開催準備のために、延べ4回もの打ち合わせが開かれました。開会の挨拶はなるべく短くする、環境法制度など、ジャーナリストに役に立つ発表を組み込む、ジャーナリストからの発表を入れる、演習時間を作るなど、SJA側が提案したアイデアは彼らのニーズを反映したものでした。

「午後まで参加者が残ってくれるかな」。草野チーフの心配をよそに、プログラムは進行していきます。昼食後、一部の参加者が帰っていくのが見えました。「やはり、長時間の拘束は難しいのかな」と気を落としていたところ、午後の部が始まると、少しずつ参加者が戻ってきました。仕事の合間を縫って戻ってきてくれたようです。

今回のワークショップの目玉は二つ。一つはTV3のレポーター、Karam Signh Walia氏の発表、もう一つは二日目に予定されていた環境レポートの演習でした。

Karam氏は、環境報道というと必ず名前が出てくるほどの著名人です。彼は自身のレポートのビデオを使い、これまでの経験を歯切れ良く、簡潔な口調で話していきます。「ジャーナリスト賞を受賞したいんなら、よく考えて書け!」、「法律を勉強しろ!」、「誰に聞くのか?なにが問題なのか?よく整理しろ!」氏の言葉には、聞く者が自然に引き摺り込まれるものがありました。

 講義が終わると、Karam Singh氏の周りにはジャーナリストたちの人垣ができました。ごつい容貌のKaram氏ですが、ジャーナリストたちには大人気でした。

二日目の演習では、元ジャーナリストで、戦略国際研究所のPhilip Mathews氏が演壇に立ちました。「皆、昨日の新聞で環境問題について触れた記事はあったか?」答えられる人がほとんどいないのを見てPhilip氏は、「このように、特別大きな事件でもなければ、記事というのはすぐに忘れられるものなんだ。だから、少しでも読者に印象が残るよう、工夫をしなくちゃいけない」。続いてPhilip氏は、何枚かの過去の環境問題の記事を何枚か取り出し、参加者に三つ課題を出しました。

1. 一つめの記事を読み、その記事の内容からなにを、誰から追加取材するべきかを考えること

2. 二つめの記事を読み、冒頭の3章をより書き換えること

3. 三つめの記事を読み、序章の内容をより印象深いものに変えること

 これを5つのグループに分かれた参加者たちが議論し、まとめ、発表するという形の演習だったのですが、「時として、想像力を膨らませることも必要」という、Philip氏が行った演習は、ジャーナリストばかりではなく、我々物を書く仕事をしている人間全てにとって参考になるものでした。

 無事二日目を終わってみると、結局途中退席した人はわずか2−3人だけに留まりました。ワークショップ中に行った2回のアンケートの結果を見てみても、「色々な専門分野の人の話が聞け、大変有意義な時間だった」、「毎年このようなワークショップを開いて欲しい」等、前向きな意見が大半を占め、全員が「もっと環境関係の記事を書きたい」という欄に丸をしてくれました。さらに、次の活動に向けて、「NGOと行政との対談イベントをやって欲しい」とか、「フィールドに出てのスタディツアーを組んで欲しい」といった様々な提案も出されました。

 なかなか取っ掛かりがみつからないでいたジャーナリストのタスクフォースもこれで一歩前進したと言えそうですが、彼らが質の良い環境報道を行うという成果が挙がるまでには、まだしばらく時間がかかりそうです。

 環境啓発コンポーネントでは、これまで3つのタスクフォースが活動を始めました。残る二つも9月までに動き出す予定です。環境啓発コンポーネントとして、環境教育・啓発ガイドラインを作成するまでにはまだまだ時間がかかりそうですが、そろそろカウンターパートたちに、一つ一つの活動の成果がガイドラインの作成に繋がることを意識してもらう時期が来たようです。


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