実例に勝るものなし
2004/5/22
田儀 耕司
4月27日、ケニンガウにあるまだ真新しいネイチャーセンターで、学校の先生を対象としたワークショップを開催しました。センターへの道路事情が良くないのにもかかわらず、当日は27人の学校の先生に加え、サバ州公園局、環境啓発コンポーネントの関係者約20名が参加し、狭いネイチャーセンターのレクチャールームは立ち見も出るほどでした。

今回のワークショップは、環境啓発コンポーネントの学校の先生を対象としたタスクフォースが企画し、教育省及び公園局と共同で開催したものです。このワークショップは、当初の企画段階では、サバ大学のキャンパスを借りて行われる予定でした。ところが、教育省からの提案で、ケニンガウに場所を変え、そうであるならクロッカーレンジ公園の新しいネイチャーセンターを宣伝も兼ねて使おうということになりました。

当日の最大の目玉は、サンダカンからスピーカーとして招待したある先生の発表でした(写真)。この先生とは、以前にサンダカンに行った時に面会したのですが、その時、森林局の施設である熱帯林インタープリテーションセンター(Rainforest Interpretation Centre)に自分の学校の先生全員を研修に連れて行き、その後、他の先生たちと共に自校の生徒を同センターやセピロックにキャンプに連れて行っているという、精力的な活動をしています。

マレー語で発表が行われたため、内容は十分に理解できなかったのですが、出席している先生たちの目が急に真剣になり、発表の最中に質問も出るなど、身の入りようが違うのは明らかでした(写真左)。

当日行ったアンケート調査でも、その結果は明らかでした。出席された先生たちのうち半数以上の方が、4人いた発表者の発表の中でこの先生の話が一番面白く、自分たちが環境教育を授業に取り入れていく上で最も参考になったと答えてくれたのでした。参加者にとって身近な話題を提供することが最もよく聞いてもらい、理解してもらえる方法なのだと改めて実感しました。

とかくマレーシアでは、偉い大学の先生や、政府の役人が下の人に教え諭すように話しがちです。環境啓発コンポーネントでは、プロジェクトの目的以外に、指導する立場にある、このような役人や大学の先生たちの行動をどうやって変えていくのかという課題があります。一番実感して欲しかった、教師のタスクフォースのリーダーをしているサバ大学の先生は、自分の学生のテストの採点で忙しく、他の発表者の発表を見ようとしませんでしたが、このワークショップで発表をしてくれた公園局の職員の一人は「私自身、大変参考になった」と語ったそうですし、科学技術室のカウンターパートの一人は、「具体例を採り入れた方が退屈せずに聞いてもらえるんだね」とワークショップの後で話していました。環境教育を指導する立場にある彼らが、ワークショップの出席者や研修対象者にどのような話をすると良いのかを考え、参加者によって発表内容を工夫できるようになれば、サバ州の環境教育ももっと広がっていくのだろうと思います。

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