保護区内の私有地をどう扱うか?:
日本の国立公園管理方式を研修する意義

2004.05.05
坪内俊憲
 私の担当している野生生物生息域管理コンポーネントの実施機関の一つ森林局のビンセント免許課課長、もう一つの実施機関の土地測量局ジョセフ審査官の2名を日本へ2週間ぐらいの日程で視察研修に送ることになりました。

 サバ州では欧米方式の自然保護行政で、保護区内の土地所有者は政府のみという状況です。保護区とは政府が所有する土地という固定概念があり、そこからなかなか抜け出せないようです。彼らは、「所有権が設定されている土地を保護区に組み入れる」ということを長年の経験から理解できないので、大きな抵抗感があります。

 日本では、国立公園などの保護区に多くの個人所有地があるまま運営管理されています。その現状を見てもらい、どのような経緯で個人に所有されているのか、また、その結果、どのようなデメリット、メリットがあるのかを、土地行政を左右する幹部職員に理解してもらう必要があります。サバ州の土地管理の責任者である2人に、日本でコミュニティ活動を組み入れた保護区管理方法がもっとも定着していると思われる屋久島と釧路湿原の2つの国立公園を訪問してもらい、政府、地方自治体、そしてコミュニティによる土地管理と保護区管理の両立と保護区がどのように地方の社会経済にとって有用であるかを目の当たりにしてもらい、これまでサバで実施してきた保護区管理の固定概念から抜け出してもらいたいと願ってます。

 生息域管理コンポーネントでは、期待される成果としてセガマ河下流地域に野生生物保全区の設置を提案しました。しかしながら、その中心に個人所有地があり、このことが設置案認可に障害となっております。日本ではどのように具体的に克服したか、釧路湿原と屋久島の土地所有形態の現状とワイズユースの実施状況を理解してもらう研修を予定しております。

 欧米の保護区方式にはない、様々な所有形態がある日本の国立公園やその他の保護区行政、法律について具体例を理解してほしいと期待しています。


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