生物多様性条約(CBD)第7回締約国会議(COP7)
サイドイベントで、BBEC活動を発表
2004/02/17
草野 孝久
1.「GEF(地球環境基金)のGTI(地球分類学イニシアティブ)への活用メカニズムを検討する会議」

2月10日、COP7会場で開催された「GEF(地球環境基金)のGTI(地球分類学イニシアティブ)への活用メカニズムを検討する会議」に招聘され、サバ大学のマリアティ熱帯生物学・保全研究所長と私とで出席しました。この会議は、夜の7時から9時という時間にも関わらず、世銀やUNDPなどや先進国のドナーとGTIの活動を行うBioNET, GBIF等の国際機関やその地域的なネットワークを主宰する人たち40名あまりが出席しました。
 私はBBECの一環で行った分類学の人材養成、組織強化、データベース構築の活動とそれらの成果、今後の情報共有の構想などを紹介したうえで、JICAの行う技術協力の内容やJICAが支援できる事業とできない要請などの説明を行いました。

 事例発表のあとの議論では、主に資金提供側の世銀やUNDPが、条約(CBD)の一翼を担うGTIを強く支援すること、だが成果が芳しく出てないことへの懸念を表明し、GEFの資金は要請する途上国の政府の優先プロジェクトに割り当てるので、分類学関係プロジェクトの優先順位が上がるように、関連プロジェクトを増やしてくださいとGTI関係者を激励していました。
 世銀の代表からは、GEFプロジェクトでインドネシアに建設した植物博物館が、その後のJICA技術協力により能力向上した成功例が紹介され、そのようなドナー同士の連携が必要なことが述べられました。
 

2.「分類学の能力向上のためのワークショップ」


 2月13日、GTI主催の「分類学の能力向上のためのワークショップ」に招聘され参加し、今度はマリアティさんがJICAの支援で整備された研究施設やBBEC活動で向上中の組織や人材の能力、分類学的な能力の向上のための課題と取り組み内容を紹介しました。こちらは、途上国も含めた参加者が50名ほどありました。

インドからの参加者は、「先進国や国際機関がデータベースやデータ共有を強調するが、途上国では分類学の人材が不足し組織の力が弱いので標本の採集やデータの取りまとめの技術移転が重要であること」を主張しました。この点は他の途上国にも共通するようで、「途上国のレベルに応じた協力内容を検討して欲しいこと」、「途上国間の協力を支援して欲しいことなど」が訴えられていました。GTIがどうも研究者や現場で採集をする人材の育成ではなく、データベースネットワークに資金も議論も傾斜していることを懸念していましたし、また、データ中心の話になると如何に環境保全に役立つのかが分かりにくく、行政やドナーの支持が得にくいと思うところがありますので、私たちの事例と主張がGTIの首脳部や参加者たちにいささかでも参考になれば良いと思います。
 後で、GTIのクリストファー事務局長から、「自分はかつてサバで研究したいと出かけたことがあるが、当時はどこにもカウンターパートとして適当な施設も人材もなかったが、いまではサバ大学の研究所がJICAの協力で国際的にも通用する組織に成長しつつあるのを見て、世界中の同僚にサバでの研究を進めることができる」という評価をいただきました。途上国からの参加者からは、「サバ大学がうらやましい」「うちにも協力してほしい」という声を聞きました。ASEANETからBBECと連携でサバでワークショップを実施したいとの申し出を受けましたので、生物多様性保全のための国際的なネットワークづくりという後半にあげるべき成果にも一歩近付けました。

3.「川辺林の生物多様性保全のためのコミュニティー・アプローチ」

2月14日、マレーシアに拠点を置く国際NGOのGEC(地球環境センター)がDANIDAの支援で開催した「川辺林の生物多様性保全のためのコミュニティー・アプローチ」と題したワークショップにもBBECは乗り込みました。こちらは、坪内俊憲さんのカウンターパートであるサバ州野生生物局のソフィアン研究開発課長が、BBECの生息域管理コンポーネントが実施しているセガマ河下流域での住民主体の保全という新しい試みを紹介しました。まだ軌道に乗ったとは言えませんが、エコツアーの開発や住民の生物資源の利用実態の調査に基づく保全のあり方を模索するアプローチは、参加者の関心を引きました。このサイドイベントは、COP7会議のない土曜日に別のホテルを会場として実施され、60名近くが参加しました。タイ、インドネシア、マレーシア、イランなどから10の事例が発表され、なかなか活発な意見が交わされました。私は、「地域社会といった場合、私たちは村落社会だけを常に対象としてきたが、もう少し広い視野で、河川を汚染する都市部の社会も取り込んだ活動にする必要があること」「土地の所有問題へ」対策をしっかりとする必要があること」の二つの意見を出しました。

4.国際会議でBBEC関係者が発表する意義


 こうして、COP7の3つのサイドイベントでBBECを紹介し、18日にはIGSIS(マレーシア政府戦略と国際科学研究所)からの要請を受け、科学技術室のファティマ主任にBBECの州の開発と環境保全に果たす役割を紹介する予定です。

 COP7のサイドイベントでBBECを活動を紹介することは、国際的に私たちの活動が広報され、手法や成果が知られるようになることのほかに、BBECのスタッフが国際的なワークショップで発表する力をつけることにも大きな意義があります。何度も国際的な場所での発表を行ってきたマリアティ教授は今回の発表で取り立てて発表の力をつけると言うことはないにしても、自分の研究所がしっかりと成長していることを広く国際的に公表することは晴れがましいことでしょう。また、ソフィアン君やファティマさんにとっては、発表内容の半分を日本人専門家に用意してもらったとしても、これは大変な経験で自信が付きます。
 こうして自分達の活動に自信を持ち、プロジェクトへのオーナー意識を育てていければ、そのあとの持続性につながると考えています。

 

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