社会問題に関するワークショップが開催される。
2004/01
公園管理コンポーネント:坂井 茂雄
クロッカーレンジ公園は、1969年に森林保護区として収用され、その後84年に公園に指定されました。森林保護区になる以前から、同地域には集落が存在し、その後も公園周辺で住民の移動による入植が行なわれました。そのため、現在は公園内に集落が存在し、地域住民は焼き畑や狩猟・魚取り、蘭などの非林産物の採集を保護区(公園)内で行なっています。昔から住む住民にしてみれば、これらの行いは当然の権利ですが、84年に施行された州公園法に従うと、これらの行為や集落は、すべて違法行為になってしまいます。この問題を如何に解決するかは、保護区管理の大きな課題です。付け加えて言うと、このような問題はクロッカーレンジ公園に限らず、後付けで保護区が指定された所では必ず起こる問題であり、ある意味では各国に共通の問題でもあります。

この課題の解決策を探るため、2003年12月17・18日の2日間の日程で、「社会問題に関するワークショップ」が、約100名の参加者により開催されました。課題の克服のためには、さまざまな関係者の共通理解と協力が必要です。そのため参加者は、公園周辺15村から40名以上の住民代表を始め、州政府関係者、NGO、大学などの調査・研究機関などが、バランスよく参加するように配慮しました。当日は、7つの発表が行なわれ、その後、グループ・ディスカッションと、ディスカッションの結果が発表されました。今回のワークショップは、サバ公園局に取り住民や関係者への公聴も含め、初めての試みです。

プレゼンテーションでは、公園局からの現状の分析、NGOよりの住民の権利に関する発表、コンサルタントによる地域での調査結果と提言などが発表されました。コンサルタントの発表では、公園内での集落や焼き畑の問題解決の選択肢として、(1)現状維持、(2)移転(強制・同意を含む)、(3)集落や焼き畑を公園から外すための公園境界線の引き直し、そして(4)ゾーニングによる公園と住民生活の共存などが提言されました。

今回の一番重要な活動は、関係者によるグループ・ディスカッションでしたが、(1)問題や課題の確認、(2)解決への選択肢と可能性、(3)今後の行動計画の3つのテーマに沿って話し合いが行なわれました。住民側からの第一希望としては、焼き畑や集落を公園(保護区)から外すこと(境界線の引き直し)でしたが、環境保全関係者の意見としては、飲料水や防災の役目をしている自然保護区を削ることなく、環境保全と資源の利用を両立させるゾーニングなどの方策を取ることでした。

今回のワークショップは、重要なテーマを話合う機会であったため、最後まで参加者が熱心に意見交換を行っていました。また、グループ・ディスカッションでは、LCDプロジェクターを使い、話合いと記録を同時に行ったので、結果発表では、それぞれのグループの結果がそのまま発表されました。このワークショップの結果は、これから策定する「公園管理計画」に反映されることになります。また、会議の結果は、現在報告書としてまとめているところです。どちらにしても、一朝一夕に解決する問題ではないので、これからも地道に最善の解決策を探し、関係者の共通理解を深め、方策を実施していくことになります。

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