サバ州生物多様性情報データベース化とネットワーク化の動き
2003/9/10
橋本佳明

4月に博物学/インベントリーのアドバイザーとしての任期を終了し帰国しましたが、


データベース立ち上げを支援するため短期の専門家として再びサバにやってきました。


8月4日から6日に、日本のデーターベース開発メーカーの技術者たちにも来ていただき、サバ大学でアプリケーション・サーバーとWeb サーバーの設置、端末機への仮インストルー、動作テストを無事終了しました。サバ大学のスタッフにも実際に機械の操作をしてもらい、改良点などをコンサルタントにもって帰っていただきました。


サバ大学と森林研究所およびサバ州公園局が一旦合意に達した生物多様性情報の共有ネットワーク構想ですが、合意文書作成をサバ大学が焦り過ぎ、サバ州側の2局長が反発、私が再赴任する前の6月に官房長を目の前にして「ネットワーク化には協力するが、こういう合意文書は必要ない」とやってしまい、一端水入りになってしまったそうです。   


草野チーフによると、サバ州政府機関の大学に対する見方は厳しく、「熱帯生物研究所は設立間もなく実力がないのに連邦政府機関であることを笠に着て全体を取りまとめようとしている」というような感情的なしこりがあるようです。加えて「大したデータもないくせに、古い州のデータをほしがっている」という穿った見方もあり、大学を中心に据えたのでは事態は進展しにくいとのこと。草野チーフは事態を立て直すために、サバ州側の関係する要人と個人的に話し合っているようです。情報共有のメリット理解、ネットワーク化に労力を割くためのインセンティブはもとより、そして何よりもハブ役を担う中心的機関にサバ州の各機関が納得する正統性を見いだすことが今後の情報共有化の最大の課題だとチーフはいいます。ここにきて、新たな動きが出てきたそうです。サバ州政府内で、サバ州の生物多様性情報共有のためのデータシェアリングのセンターを、このプログラムの主要実施機関井なっている組織に設置する動きです。これはまだまだ表立って議論できず、水面下での根回し、腹の探り合いの段階のようですが。


サバ大学熱帯生物研究所(ITBC)と森林研究所およびサバ州公園局研究部門は、実際に生物標本を収集して、その規模や内容、研究成果を競い合っている研究機関です。が、サバ州の中枢にある行政機関で、かれらの直接的なライバルにはならず、かつ彼等を取りまとめるのに正統性があり反発も起きない機関、そういう組織のめどが見えそうなわけです。

私たちとしても、サバ州の生物多様性センターがBBECとは独自に設立されるのではなく、その範疇内で、生み出されることは大歓迎です。 


この4月から主席大臣府の直轄つまり官房部局となった科学技術室(UST)のモクタール室長の動きが活発になりました。科学技術室は、BBECプログラムの環境啓発コンポーネントの主務機関です。モクタール氏は昨年のハーグでの生物多様性条約国会議COP6にも参加していて、この点での理解もあり、また、IT技術も含めた科学技術の州内での普及教育を主管しています。草野チーフはこの人を押し上げようとしているようです。


ITBCにデータベースを設置した日に、USTの室長モクタール氏が、職員とサバ公園局の職員を連れて、本データベースを見学にきました。小生らで、簡単なプレゼンをおこない、モクタール室長らにデータ共有ネットワーク設立についてレクを行うこともできました。


昨年度から仕掛けておいた国際生物多様性情報会議(於:つくば)のBBECからの出席、講演も、びっくりするくらい、うまく行きそうです。


GIBIF(地球的イニシアティウ゛生物多様性情報基金)とGTI(地球的分類学イニシアティブ)の日本事務局代表である志村さん(環境研)を昨年度(今年2月)のBBEC国際ワークショップに招聘して講演をしてもらい、データ共有のワークショップを一緒にやりましたが、この時に志村さんと私と草野チーフとで、こうした国際的な動きにサバ州を巻き込む作戦をいろいろと練りました。今年10月に開かれる両機関と日本の環境省共催の「アジアに於ける生物情報共有パートナー国際会議」にサバから4名送り込むことで予算確保もしました。GIBIF会議事務局の志村さんの方ではBBECメンバーのために特別の配慮をしていただきました。


サバからはモクタール所長を団長に、森林研究所から2名、サバ公園局から1名、サバ大学ITBCから1名、そして私が本会議に出席し、事例発表、カントリーレポート発表、ポスターでの発表を行うことになりました。

9月3日から一週間ほど、日本の技術者たちに来ていただき、今度は、ミューズベースの使用に関するトレーニングをITBCスタッフに行いました。これに合わせて、9月3日に、マルチメディア生物標本データベースの環境教育Webへの応用とデータシェアリングのワークショップを開催しました。ITBCに導入したデータベースを早速使用して、参加者に実際にデータベースに触ってもらい、うごかしながらのワークショップです。これも、USTとの共同開催になります。ここで、今回、日本のメーカーに新開発していただいた、インタネットのブラウザー(エクスプロウラ等)から、ミューズベースのデータベースにアクセスしてデータの閲覧や入力ができるシステムなども披露しました。

 

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