協力開始1年後の成果
2002年3月27日
草野 孝久
コタ・キナバルでは一年中で一番暑い暑い毎日が続いております。「40度はあるよ」「いや、そんなにはないよ。せいぜい35度。でもこの湿気がねえ?」という会話を繰り返す毎日。湿気があるのに雨が降らない。これが体に応えます。


協力開始から一年余り立ちました。 このプログラムは、多くの組織から大勢が参加して計画・実施していますので、如何に進捗を自己評価し的確な運営管理をしていくかが、効率化と最大の効果を引き出すために不可欠です。総合的な環境事業のモニタリングをしっかりできるようになることも、このプログラムの成果の一つになっています。


これまで3回の自己モニタリングをしてきましたが、せっかく複数の機関で4つの作業委員会を作って運営管理しているのだから、特定の人が下書きしたものを会議形式で議論するのではなく、参加型ワークショップでやろう。ということで、3月には東京大学から評価の専門家である石田健一さんに来ていただき、「参加型モニタリング」の仕方を教えていただきました。


ワークショップの展開については、近いうちに石田さんから報告して頂くとして、自己評価の結果確認できたこと、つまり、こうした連携による相乗効果がしっかりと出始めたことを今回は報告したいと思います。


アジアゾウやテングザル、バンテン(野生牛)といった絶滅危惧種が住む川辺林生態系を新保護区にする計画が具体化しました。既に申請書は環境担当の大臣を経て、閣議にかける手続き中とのことで、早ければ5月にも新保護区がこの協力の成果として誕生することになります。


この地域で伝統的な暮らしをする約300人の川の民の村落と一緒に、如何に現在の自然環境を保全していくか、その形をどう作っていくかがこれからの挑戦です。


一方、これまで管理が不十分だった沖縄本島ほどの広さがある国立公園では、水源涵養林としての役割が見直され、8つの郡庁(最小地方自治体)と州の灌漑排水局や土地・測量局などがサバ公園公団に協力し、公園内に居住する住民たちの伝統的な土地利用を認めたゾーニングや公園周辺のバッファーゾーン(調整区域)設置の検討を進んでいます。こうした動きはマレイシアの国立公園としては初めてのことです。周辺の郡庁に自然環境課を新設する動きも出始めました。


公園内に居住する(してしまった)約2万人もの低所得層が、焼き畑や盗伐・密猟などによる無理な自然資源の利用を止め、代替生計あるいは違った人生設計を確保できるかは大きな課題です。そして公園内の自然と村落住民双方の脅威である、組織的な違法伐採による自然破壊を拡大するのを食い止めなければなりません。


研究教育体制も整備されつつあります。標本採集・同定分類の技術の移転、記録してデータベースとして残す体制の構築、GIS・DNAラボ・電子顕微鏡などを使った研究のための人材育成も進んでいます。調査研究技術については、幾つかのテキストやマニュアル、フィールドガイドなどが作成されました。BBECからの出版物は11冊を数えました。


このプログラムは頭文字を取ってBBEC(ビーベック)と訳され知られるようになりました。一般市民参加のコンテストで選んだロゴも好評です。BBECが新聞やTV・ラジオで取り上げられること60回を超えました。私たちの活動が知られるだけでなく、サバ市民の自然環境保全意識が向上し行動も変わることが、4年後の目標です。

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