ラナウ郡役場滞在記
2005/3/1
服部 修(JICAマレーシア事務所)

 JICA新入職員のOJT研修の一環として、マレーシアに派遣されてから3ヶ月…。新入職員3人(南雲孝雄、森実麻生子、服部修)は、JICAのプロジェクトの中でも有名な「ボルネオ生物多様性・生態系保全(BBEC)プログラム」で現場研修をすることとなり、期待に胸を膨らませてサバ州コタキナバルの空港に降り立ちました。

 

 到着翌日は、早速サバ州公園局を訪れました。BBECプログラムの中の公園管理コンポーネントでの目標、活動、成果、またクロッカー山脈公園の周辺8郡との関わりや期待などを専門家や公園局職員から説明してもらい、また翌日からの郡役場勤務でどういうことを期待されているのかを聞き、少し不安を感じながら、郡役場での勤務の準備をしました。

 

 そして2005年1月27日。いよいよ郡役場へと出発です。

 

 私は引率の草野チーフ、森実職員とともに車に乗り込み、トゥアラン郡役場(森実)、ラナウ郡役場(服部)に向けて出発しました。トゥアラン郡役場で森実職員と別れ、いよいよラナウ郡役場へ。期待と不安を抱きながら、車で約2時間。幸運なことに、途中のクンダサンで、晴れ渡る空に映えるキナバル山を見ることができました。そして郡役場へ到着。

 

 ラナウ郡役場での2週間――。最初の2日間は郡役場の機能や役割を理解するために、職員の人に話を聞いたり、説明を受けたり、資料をもらったりしました。しかしほとんどの資料がマレー語で書かれており、理解するのに苦労しました。日曜日をはさんで翌週には地方のカンポン(村)や鉱山跡地に視察に行ったりし、さまざまな経験をすることができました。

 

 町から少し遠くなると道路はほとんど舗装されておらず、デコボコ道を毎日半日以上かけて、クロッカー山脈公園周辺のカンポンを視察しました。

 多くのカンポンが丘の上に位置しており、水の供給問題に直面していました。生活するために、焼畑農業によるタバコの栽培や米の栽培を行っており、クロッカー山脈公園周辺の森を守るためには、この問題に取り組まなければならないのではないかと思いました。焼畑に代わる代替農業の提案と定着、またそれ以上に水供給の問題を解決することが必要ではないかと思います。

 

 鉱山跡地(Mamut Copper Mine)への視察では、豊かな自然と破壊された自然の両方を比較することができ、この跡地から流れ出る汚染水で困っている人々がいることも知り、強いインパクトを受けました。跡地に入ると自然らしい自然はほとんどなく、タイヤやドラム缶などが放置されたままになっており、少し異臭も漂っていました。クロッカー山脈公園の原生林がすぐそばにあることもあり、自然(緑)の無さを強く感じました。さらには、この跡地に溜まった汚染水が近くの川に流れ込み、それが下流で生活する人々を苦しめており、跡地の調査、リハビリテーション計画の策定などのアクションを早急に起こす必要があると感じます。どうすればここの自然が回復するのか、またJICAとしてはどのような協力ができるのか、真剣に考えさせられました。

 

 視察や現地の人との話の中から多くのことを学ぶことができ、JICA職員としてはもちろんのこと、人として多くの感銘を受けることができました。

 ラナウの人はみんな親切で、心の温かい人が多く、仕事以外の時間には飲みに行ったり、カラオケに行ったり、また仕事中にもミノム(お茶)したり、話をしたりと楽しい時間を共有できました。友達も多くできました。間近でキナバル山を見たり、世界最大の花ラフレシアを見たり、キャノピーウォークに挑戦したり、多くの感動を得ることもできました。

 ラナウでの12日間で、本当に多くの感動と多くの教訓を得ることができたと思います。今後は提案したプロジェクトのフォローはもちろんのこと、ラナウ郡に足を運び、今回できた友人と再会し、またいろんな感動を得ることができればと思います。

 

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