河の民オラン・ティドンの村

2003/07/28
坪内 俊憲
現在私たちが新しい野生生物保全区を提案しているセガマ河下流域にはサバ州の少数民族ティドン族の3つの部落が存在しています。彼らは河川民族といわれ、河川周辺に集落を作り生活をしています。


森林局の調査によれば、森林伐採事業に従事するために数十年前に移動してきた人々が3つの村を形成したことになっています。当時、彼らの収入は月$400程度になったそうです。


伐採する木がなくなり、仕事がなくなった後、人々は河川に生息するテナガエビ漁をして生活ができたため、現在の位置にとどまっているとの事です。テナガエビは最も高価(現地価格8RM/kg)なエビで、かつて一日15〜20kgも漁獲があったため、生活を維持していくことができたようです。


そこに、先住民権利による土地占有に関する法律ができ、土地をプランテーションに利用したい人々からの働きかけで、その権利を利用して先住権土地を獲得し、プランテーションを拡大したい資本家に販売する仕組みが出来上がってきました。近年周辺で大規模アブラヤシプランテーション開発進み、インドネシアからの密入国者が安い労働力として大量に流れ込み、地域住民と問題を起こし始めたのです。また、そのプランテーションから流れ出る土砂、農薬が河川生態系に影響を与え始め、唯一の現金収入であるテナガエビの漁獲が2kg/日まで減少してきてます。


このような状況に加えて、村の開発を主導する利権組織であるJKKKが機能し始め、モスレム指導者も存在し、経済、宗教、行政、そして、伝統が複雑に絡み合った社会が出来上がってきました。

上へ
 閉じる

JICA