サバ州は独立国
2003年2月
草野 孝久
マレイシアは連邦制を敷いており、もともと半島部とサバ州、サラワク州は別の国という意識がつい最近までありました。いまだに半島部、サラワク州からサバ州へはパスポートがないと入国できません。最近では、経済企画庁や連邦開発庁など予算に関係した連邦政府組織がサバ州に出先を持ち予算の配分に権限を持ったり、与党連合のUMNOにサバ州の政党も合流したりと、半島部との一体化が進んでいますが、連邦政府の実施的な行政権は半島部の9州にしか及ばず、サバ州は独自の政府機構を持っています。省庁編成も違い独自の大臣がいます。

私たちが協力しているサバ州組織9機関は連邦政府の同類または同名の機関とは別物で全くの上下関係もありません。例えば、観光案内などに国立公園と書かれているサバ州内の6公園は、IUCN基準でも国立公園ですが、実はサバ州の公園条例に基づく州営公園で、サバ公園局が管理してます。

半島部の9州にはもともとスルタン(殿様)が居て、いまでも世襲して各州の元首となっています。マレイシア国の元首つまり国王(アゴン)は、この9州のスルタンの持ち回りです。サバとサラワク州にはスルタンは居ませんでしたので、英国領時代の名残りである総督を平民から選びます。総督はお飾り的で、形式上この下に位置する主席大臣が内閣を作り州の行政を執り行っています。人口300万人ほどですから、主席大臣は日本で言えば県知事というところです。彼を支えるのが、公務員の最上位の役職であるState Secretary:官房長で、この方が私たちが協力しているプログラムの運営委員長です。

この1月から総督になった方は、なんと副官房長官を退官された方です。人望があり政治的に偏りがなく敬虔なイスラム教徒であることが総督選びの基準とのことですが、もとの部下が、雲上人となった我らが官房長のお気持ち如何ばかりでしょうか?総督はお飾りとは言いますが、先の総督は、内閣が決めたある海洋諸島公園の制定書への署名を最後まで拒み、棚上げにしたまま去っていきました。こうしてみると、政治にとっても重要な1ポストであるようです。

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