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ボルネオの自然
地球塾ダガット村教室で教わったこと Part7
−ニッパヤシとマングローブの住み分け−

坪内俊憲(生息域管理)

ダガット村へはラハダトからタビン野生生物保護区と広大なプランテーションを通ってセガマ河に出てからボートで行く方法と、サンダカンからボートでキナバタンガン河とセガマ河の河口に広がるマングローブ林を眺めながら行く方法があります。

ダガット村ホームステイ・ボルネオエコツアーではサンダカンからボートに乗り、2時間半ほどかけてセガマ河河口に広がるマングローブの森を抜けていきます。そのとき、両岸マングローブの森に覆われているところから、片岸ずつマングローブとニッパヤシの森で覆われているところ、そして両岸共にニッパヤシで覆われているところ、次に熱帯イチジク木や多様な種類の木が生える湿地林の順に通っていきます。そして、湿地林に変わったところでダガット村に到着します。

 ニッパヤシはマングローブより少しだけ多く淡水の供給が必要で、マングローブは海水に長く耐えられるという特徴は聞いていました。が、河口から上がっていくたびに海水が入っていく方向とマングローブの森の位置を合わせてみていたのですが、なかなか海水のほうから考えるとニッパヤシとマングローブがなぜ交互に現れるのかわかりませんでした。以前短期専門家で来ていただいた新庄専門家から「川の流れを考えてみたらわかるでしょ」といわれて初めて、川は上流から淡水が流れてくるのであって、河口から海水が入ってくるのは一時的なことと気が付きました。そうすると、上流から流れてくる淡水がぶつかる岸はニッパヤシ、その反対側はマングローブという関係がはっきり見えました。海水の影響が強いところは全部マングローブになるけれど、上流から淡水の供給が十分継続してあるところはニッパヤシの森になっています。しかし、ちょうどその境目のところでは上流から流れてくる淡水がぶつかり、淡水の影響が強い岸にはニッパヤシ、その反対側にはマングローブの森と明確に分かれています。そうでした。河は山から流れてくる淡水の流れであって、海水が入ってきてもずっと淡水は流れていることを交互に現れるニッパヤシとマングローブの森が教えてくれました そして、地元でボートを操縦している人は常にニッパヤシの生えている岸の方向にボートを寄せて操縦していました。ニッパヤシとマングローブが交互に現れるところでは常にニッパヤシの側に淡水が当っているから、そっちが深く掘れていて、ボートのスクリューを底にぶつける危険が少ないのです。地元の人はちょうど熟れたニッパヤシの実を見つけるためにニッパヤシの生えている岸にボートを近づけるのではなくて、スクリューを傷付けないためにニッパヤシのほうに近づけるのでした。マングローブがほとんど切られておらず、ニッパヤシを屋根の材料として使う人もほとんどいないセガマ河下流でははっきりとマングローブとニッパヤシの住み分けを見ることができます。まだまだ、地球塾ダガット村教室では勉強することがいっぱいありそうです。

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