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ボルネオの自然
サバ便りその1「パフィオペディラム ボランティアナムの自生状況」

2005/6/6
松永 龍児(チーフアドバイザー)

 森林保護をどこまでするかこれはなかなか難しい課題です。サバ州政府は、開発をして国民生活を豊かにしようとしていますが、その一方で自然を守ろうと、少なからず努力していることも忘れられてはいけないと思います。そこで、今回から数回に亘って、守られている自然の中のサバの蘭について簡単に紹介することにいたします。

  今回は有名なキナバル山の蘭について、紹介しましょう。ご存じのようにキナバル山は富士山より高く、4,000メートル以上の標高があります。山頂近くまでデンドロキラムやセロジネ等が見られ、とくに1,500〜2000メートル付近は霧雨林地帯となり、シャクナゲやウツボカズラが見られるとともに、多くの蘭が見られることで有名です。この地域では1本の樹に数種類の蘭が苔にまみれて沢山、着性しているのが見られます。だいたい、1,500メートルぐらいからどの樹にも蘭がくっついているという状況になります。今回は、地生蘭のパフィオペディラム ボランティアナムの自生地を見ることができましたので紹介したいと思います。

 たまたま、取材に同行する必要があり、ウツボカズラの撮影に行ったところそこが、ちょうどボランティアナムの自生地でした。同行者は誰も気付かないぐらいひっそりと咲いていました。標高は1,800メートル付近で霧雨林の中にランドスライドが起こったような瓦礫に少し草が生えているような状況の場所でした。まるで水を含んだ鹿沼土のような状態の瓦礫の場所に、苔が根をカバーしている状況で自生していました。園路際では踏みつぶされているのもありました。現在は保護地域なのであまり多くの人が入らない状況になっていますのでこれ以上はひどくならないと思います。

 キナバルの蘭はかなり特殊なものが多く、花を咲かせているものも少ないので種の同定はかなり困難です。レンジャーたちの中には学者と調査に同行して、名前を覚えている者もいますが、咲いている場所と名前を記憶して把握しているようです。
この自生地の周辺にもセロジネやデンドロキラム、デンドロビューム、エリア、リパリス等多くの蘭(20〜30種類)が樹に着生していましたが、花を咲かせていないので正確には紹介できないのが残念です。一般の人には、着生しているのが蘭かシダかなにか分からない様です。したがって、パフィオペディラム ボランティアナムも単なる雑草に混ざったかわった花にしか映らないようです。写真でも分かるように瓦礫の場所にシダや実生苗とともに苔でおおわれてかなり水を含んだ土の中に根を下ろしています。この場所は、風も強くかなり涼しい気候です。本当にこんな場所に自生しているのかなというような場所です。実際に、歩いてもまず見つけることはできないと思います。特に山道では山頂を目指して歩いているし、標高もかなり高く息切れもします。私もTV撮影のクルーと一緒でレンジャーがパフィオもあると言わなければ何回歩いても気が付かなかったと思います。

 今後、機会を見ては、サバの様々な地域の蘭の自生地の写真を撮ってみなさんにご紹介したいと思います。

※ホームページでは、写真も御覧いただけます。

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