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ボルネオの自然
地球の遺産としてのボルネオ島の自然

2004/9/17
草野 孝久

豊かなボルネオの森

 

熱帯には豊かな森林があります。とくに、ボルネオ島には世界的にも多様な生物が生きる熱帯雨林が残っています。しかし、この数十年間の人間活動の拡大、つまり開発によって、森はどんどん切り開かれ、巨木は切られ、湿地帯やマングローブ林は埋め立てられ、サンゴ礁も死に絶えていきました。今や私たちがイメージする熱帯雨林、大型の野生動物や珍しい植物に出会える森は、わずかな地域だけになってしまいました。

 ボルネオ島は、地球上に12ある最も生物の多様性が高い地域の一つです。永いあいだ、多様な民族と多様な生物が共生する穏やかな暮らしを慈しんできました。

なぜボルネオ島には、多様な生物がいるのか?

 

熱帯の森林には、さまざまな生物が生息しています。地表面積のわずか7%を占めるにすぎない熱帯林に、地球上の生物種の50%以上が棲息していることが分かっています。現在、世界中で180万近くの生物種が科学的に明らかにされていますが、この数値は実際に生存する生物のほんの一部にすぎないとも言われています。更に1000万種以上の昆虫や植物が今後、熱帯で発見される筈だと多くの生物学者が推定しています。

 ボルネオでは面積が東京都の半分以下の調査区で700種類以上の木が分類されています。これは北米全土に自生する木の全種類数に匹敵します。また、サバ州の保護区では、1本の樹から平均60種ほどのアリを採取しています。日本全国に生息するアリが250 種ほどであることと比べてみると、ボルネオの森林には未知の昆虫や微生物がまだ数百万種いると推定するのは妥当だと思えます。

 熱帯林の生物の多様性は、氷河期の存在と関係します。地球は形成されて以来ずっと温暖でしたが、氷河期が訪れたため、多くの生物種が長いこと熱帯に閉じ込められていました。つまり、ボルネオ島は生物誕生以来一度も絶えることなく、生物の進化をはぐくんできた訳です。

 

*この文章は、「環境と開発,」斎藤千宏編著, 日本福祉大学刊(2004):第14講 ボルネオ島の自然保護, pp69 (CD-ROM教材)の一部を書き直したものです。

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