BBEC
ボルネオの自然
ボルネオゾウは新種ではないの?

2004.04.23
坪内俊憲

セガマの二つの村に昨年より早く再びボルネオゾウが現れました。

毎年7月にはオランウータンも果物を食べにやってくるのですが、今年は例年より早く来るかもしれません。

 

ボルネオのゾウに関して以下のような質問がBBECホームページの読者からよせられました。

> 「遺伝的に隔離された個体群」は新種でも亜種でもないのでしょうか。

> 例えば、日本の山奥で他の集落と全く接触しなかった村落に住んでいる人た>ちがいたとして、彼らは他の日本のヒト(という種族があるとして)とはちょっと外見や性格が違うがやっぱり日本のヒトである、ということなのでしょうか。

> 200万年前から約1万年前くらいに隔離されたのでは、新種・亜種にはならない、ということなのでしょうか。

ご質問の「遺伝的に隔離された個体群」は新種でも亜種でもないのかどうかということについてですが、答えることができないのが正直なところです。といいますのは、種、亜種の定義がその生物群によってさまざまに異なるため簡単に結論付けることができないのです。種、亜種という分類の仕方はあいまいなままその生物群研究者(分類専門家)たちによって決定されています。

アジアゾウではスリランカに住むゾウを亜種として分類する人がいますし、また、4亜種に分ける研究者もいます。ボルネオゾウの研究論文では種形態分類について系統的に研究したわけではありませんので、研究者はあえて亜種という位置づけはせず、移入種ではなく遺伝的隔離個体群であるという結論にとどめたということです。

亜種、新種という議論は研究結果から逸脱した議論であって、研究者も当惑してしまったとのことです。

200万年から1万年の隔離で種、亜種に分かれないかということですが、これも種、亜種の決定がその分類群の研究者においてのみ決定されるため時間的隔離と種、亜種分化が一定しておりません。私が調査に関係したサンゴでは数千年の隔離で新種と分類され、ウミガメでは数千万年近くでも亜種として分類されたりします。時間的隔離と種分化はまだまだ疑問の尽きないテーマです。

 

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