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ボルネオの自然

キナバタンガン河沿いの村でのエコツアー

2004/03/24
ケニア野生生物サービス局(JICA派遣専門家):今栄博司

  コタキナバルから飛行機で40分ほどのサンダカンという街から、ボートで3-4時間行ったところにあるキナバタンガン川沿いのスカウという小さな村でホームステイさせてもらった。   

 高床式住居に住み川の水を生活用水として利用する、この地域では典型的な生活スタイルのようであった。飲み水だけは煮沸しているようであったが、炊事洗濯などには川の水をそのまま使っており、衛生面の不安がないわけではなかったが、家の中は清潔に保たれており、慣れるに従って不安は小さくなっていった。また、お客さん用の食事だったからかもしれないが、川えびや魚など川の恵みが豊富で、川の流域では食材にはそれほど困らないのではないかと思われた。但し、店で購入するような生活物資は都市部から運んでくる必要があるため、輸送費がかかり値段が高くなっているとのことであった。

 このスカウ地域には野生のオランウータンが生息する森があり、オランウータンを個体識別した上で行動をモニタリングするという活動が、KOCP (Kinabatangan Orang-Utan Conservation Project)という地元住民で形成されたNGOによって行われている。KOCPは、サバ州での野生生物保全に取り組んでいる国際NGOの支援によってできたローカルNGOであり、地元の若者を訓練しオランウータンの行動に関するデータ収集に当たらせている。ある程度データが集まれば研究者(多くの場合マレーシア人)にデータを渡すとのことであった。このオランウータン観察のエコツアーは、日常的にオランウータンを追いかけているという強みを活かして実施されている。スカウ地域には他にも観光ロッジがあるが、オランウータンに関する生の情報を持っているのはKOCPだけであり、このエコツアー以外では野生のオランウータンを見ることはできないとのことであった。

 小職のケニアでのカウンターパートのオバンダ氏は、ホームステイというアイデアにいたく感激しており、ケニアでもできないかと考えているようであった。ケニアではコミュニティがキャンプサイトを設立している地域はあっても、ホームステイをさせている地域はない。

 地元の若者が訓練を受けた上でオランウータンの行動のモニタリングを任されており、そしてそのデータを解析するのがマレーシア人研究者ということであるが、マレーシア人自身でそういったモニタリングができるという点がケニアとは少々異なるように感じた。記入済みのデータ用紙を見せてもらったが、きちんとした形でデータを取っており、その信頼性は高いように思える。地元の若者は高校を出てはいるようであるが、専門的な教育を受けているわけではなさそうで、その意味では教育レベルが高いというわけではなさそうだ。それでもきちんとデータが取れるというあたりが、学校教育とは異なる「教育」の水準の高さをうかがわせた。マレーシア人自身でそういった研究ができるということは、自信にもなるし、オランウータンという貴重な野生生物を自分たち自身で保全しているという「誇り」にもつながりやすくなるであろう。

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