BBEC
ボルネオの自然
ボルネオの両生類と爬虫類

2003/12/8
松井正文

1. 両生・爬虫類セミナーについて

 陸上脊椎動物の多様性は、昆虫を含む無脊椎動物のそれにくらべれば微々たるものだが、陸上脊椎動物は我々ヒトを含む動物群であり、当然、その生理的特性はヒトときわめて近いことから、陸上脊椎動物の保全はヒト自身の保全と密接な関係がある。そうした観点からは、アリやシロアリと同等以上に、陸上脊椎動物の多様性と、その保全には関心が払われるべきで、BBECの目的からみて、陸上脊椎動物の一部に関するセミナーを行うことには大きな意義がある。

 種多様性(種類数)から見ると、両生類は哺乳類をしのいでおり、爬虫類はさらに大きい。ことに熱帯域は両生類の中でもカエル類の最も豊富な地域であり、アシナシイモリ類の唯一の生息地域でもあるから、こうした動物群について論議することは重要である。

 これまでにボルネオ島の両生爬虫類について研究してきた研究者たちが,その成果やデータなどを示し,意見交換する場を提供することによって,ボルネオ島を特徴や特色などを生かして,今後のどのように研究(セミナーの開催)や自然保全(ツーリズムなどを含めて)をすすめていくかを議論する.

2.両生・爬虫類の生物多様性(または自然環境)の保全上の位置付け

 食物連鎖上では、両生・爬虫類は中位に位置する。一般的には、蛇の減少は、下位に位置する蛙の減少に起因するが、同時にその上位の猛禽類の存続を危うくすることも意味する。蛙の減少は害虫の蔓延を促すことになる。種多様性の豊富な熱帯域では、カタツムリに依存する蛇や、シロアリだけしか食べないカエルもいる。一般論がどの程度、通用するかは不明であるが。

 両生類は水と陸の両方の環境がなくてはやっていけない。オタマジャクシには淡水の存在が不可欠だし、変態して蛙になっても湿気が必要である。逆にいうと、両生類の豊富なことは、汚染されていない水と空気のあることを意味する。つまりカエルは良い環境のバロメーターとなりうる。

 種多様性(種類数)は両生類のほうが哺乳類よりやや大きく、爬虫類はそれらよりずっと大きい。ことに熱帯域は両生類の中でもカエル類の最も豊富な地域であり、アシナシイモリ類の唯一の生息地域でもある。世界的に見たときに、この地域を保全することの一つの意義はここにある。

3.サバ州におけるHerpetologyの研究調査と今後の展望

 東南アジア地域でボルネオはもっとも研究が進んだ地域である。サバ州はサラワク州とならんで研究が進んでおり、カリマンタンはほとんど未知である。キナバル山には古く19世紀末に探検隊が入り、イギリスやフランスで研究がされた。戦後の主だった研究者はアメリカ(シカゴ)のインガー博士で、1966年には両生類の総説を出し、その後、数冊の一般向け図説を出している。また、最近、ドイツ人の半アマチュア研究者たちはキナバル山域の両生・爬虫類の本を著している。東南アジア地域でこれだけの資料の揃っているのは例がない。

 しかし、まだまだ調査すべきことは多い。未調査の地域について、これまでのファウナリストの作成(インベントリー)を続けることは急務を要する、それと同時に、新しい手法を取り入れ、より深い分類学的研究によって、多様性の内容の再吟味が必要である。また、定性的な研究だけでなく定量的な研究も始める必要がある。個々の種の生活史の研究も必要で、それによってのみ、具体的な保全策をたてうる。

 爬虫類の研究は両生類にくらべ、やや遅れている。両生類とともに、爬虫類の研究が重要。サバ大学のコレクションの同定、標本充実を促進、指導するための専門家が必要である。何より重要なのは、外国人ではなく、地元の研究者による研究体制の確立である。これさえ可能なら、サバ州は東南アジアにおけるHerpetologyのメッカになり得るだろう。

 

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