BBEC
ボルネオの自然
ショウガ科は見てよし,食べてよし

2003.8.1
高野 温子

2003年4月より,博物館学・博物館運営アドバイザーという立派な肩書きを頂き,サバ大学熱帯保全生物学研究所(ITBC)に配属された高野温子です.

ITBCは将来的に博物館機能をもった研究所を目指し,生物多様性の保全を考える上で基礎となる生物標本その他の資料の充実,また学生や市民を巻き込んだ教育および啓蒙活動の充実に取り組んでいます.

BBECプロジェクトとしては,クロッカー山脈などターゲットエリアの動植物相調査,保全生物学や昆虫学,DNA塩基配列データを用いた解析などの種々のトレーニングコース,動物や植物標本,文献などのコレクションの充実,収蔵庫の整備,標本情報のデータベースの整備,展示制作といった事業を行っています.それらの事業の運営管理と,各事業に対する助言を行うのが,私を含めた教育・研究コンポーネントに配属される専門家の任務です.このコンポの専門家はなぜか関西出身者が多く,マレー語,英語にまじって関西弁が飛び交う職場です.最近はチーフリーダーまでが怪しげな関西弁(失礼!)を話すようになりました.

ITBCは設立してまだ日が浅く,スタッフも所長と助教授を除けば殆どが2―30代のためかトップダウンの傾向が特に強く,全てのことが事実上所長の決断で決まっていきます.スタッフも所長に「お前が○○をやれ」と言われない限りは動け(き?)ません.ですので,所長がいる間は物事が進むのですが,いなければ全てがストップします.常に所長のスケジュールを把握し,長期出張の予定があれば彼女の決断が必要な事項をまとめて持って行き,部下に指示してもらうようにしています.それでも,スタッフは各自講義などの大学の本来業務も抱えているので,事業が予定通り順調に進むということは稀で,実際はこちらも口だけでなく手も足もだして,なんとかなっている状況です.

といいつつも,熱帯の植物が好きで,マレーシアにはこれまで何度も植物調査のために訪問していたので,特に野外調査は自分の研究も兼ねて楽しく行っています.目下の研究テーマは,これまでほとんど研究が進んでいないクロッカー山脈のショウガ科植物のリストづくりです.ショウガ科は見てよし,食べてよしの有用植物で,観賞用,薬用,香辛料,繊維,野菜,はてはおまじないにまで利用されます.ITBCは潜在資源としてのショウガ科植物に注目しており,標本および生植物のコレクションの充実に力を入れています.これまでの調査で,クロッカー山脈には40種程のショウガ科植物が分布していることがわかってきました.もうひとつの嬉しい成果として,いつも一緒に調査に出かけるテクニシャンのジョニーさんが,最近ショウガに興味を持ち,自ら進んで勉強するようになりました.他にもボルネオ島には,ランやウツボカズラ,ラフレシアなど熱帯を代表する植物が数多く生育しており,ボルネオでしか見られない種類もたくさんあります.一方で,キナバル山などの標高の高いところでは,ツツジやコナラなど日本に生育する植物の仲間を見ることが出来ます.先日いったクロッカー山脈では,日本では絶滅危惧種に指定されているツチトリモチの仲間を見ることができました.こういった調査で心を癒しつつ,日々の仕事に励んでいます。

上へ
閉じる

JICA