BBEC
ボルネオの自然
サラワク州ランビルヒルズ国立公園での樹冠研究

2003/03/20
館 卓司

サラワク州ランビルヒルズ国立公園に設営されている熱帯雨林の研究施設である、キャノピーウェイや林冠観測クレーンおよび研究・宿泊施設を視察してきました。

ランビルヒルズ国立公園は、ミリの町から車で30-40分ぐらいの所に位置する低地の熱帯雨林から構成されています。この国立公園内には、研究用として、長さ約300mのキャノピーウェイと高さ80mの林冠観測クレーンおよび研究者のための宿泊施設(約20人収容)と研究棟が設置されています。これらは、京都大学を中心とした日本の学術研究グループの研究フィールドとして整備され、管理されています。他に公園内には滝があり、休日には観光客でにぎわい、またかれらのための宿泊施設も設置されていました。

キャノピーウェイは、高さ約40mのタワー2本の間を様々な樹を経てつながれており、その合計の長さが約300mに達しています。その途中や中継地点となっている樹からさらに梯子がかけられ、ここの樹にアクセスすることができ、それぞれの樹上および樹間で採集や調査を行うことができるように設計されています。安全面については、登山用のハーネスを用いることによって落下の危険を防ぎ、タワーやキャノピーウェイも定期的に点検し、管理していました。

林冠観測クレーンは、キャノピーウェイの設置されている森からやや離れた場所に設営されています。ゴンドラをクレーンによって釣り上げて、約80mの高さまであがることができ、アームの長さを半径とする円内のあらゆる場所、高さの熱帯雨林に近付くことができます。バルーンと異なりクレーンの利点は、場所のデータ(緯度、経度や高度)が細目まで、表示することができ、何度でも同じ場所での調査が可能なことです。現在、風速、二酸化炭素濃度、雨量など詳細なデータを取り続けていました。

宿泊および研究施設は、公園内の一角にあり、2棟から構成されています。1つは宿泊施設であり、各部屋にはベットと机が備えられており、共同ではあるが、台所、便所、シャワーといった基本的に生活する上では全く問題はありません。また、多くの女性研究者が滞在していたように、男性だけでなく女性にとっても別段不便はないようです。研究棟はこの宿泊施設に隣接しており、2階からアクセスできるように設計されています。研究棟には、基本的な作業部屋、DNAの抽出まで行える実験室、書庫、標本室や事務所などがあります。電話やFax、E-mailなども備わっており、常に日本との連絡はとれる状態になっていました。

研究フィールド内は、すでにトレールやコドラートが設けられており、直径10cm以上の樹木はラベリングされ、樹種と共に年間の成長度(形成層の幅を計測)も調べられています。また、リターの量に関する調査も続けておこなれていました。その他のベースライン研究、例えば昆虫採集用のライトトラップは3ヶ月に一回、小型ほ乳類用のトラップも定期的におこなわれているとのことです。これらのベースライン研究のデータや標本作成は、全て現地のイバン族の人たちを雇用して(1人23RM/1日当たり)、彼等のルーチンワークとして処理されています。

 

上へ
閉じる

JICA