BBEC
ボルネオの自然
生物多様性の情報を共有化する

2002年12月
橋本 佳明

1) サバ州内の生物多様性情報共有化の仕組みを確立し、サバ州内に収蔵された標本のチェックリストの作成・公開を促進して、サバ州の生物多様性の早急な把握を目指しています。このため、主要なコレクションを有するサバ大学熱帯生物学・保全研究所、サバ州森林局研究所、キナバル博物館等の標本とその管理、データベース化の現状調査を実施し、10/22-23日に森林局研究所を視察しました。森林局、サバパークス博物館(キナバル公園博物館)では、標本管理やデータベースに関して、様々に違ったレベルでの問題を抱えています。例えば、森林局の昆虫部門では、標本管理に関する知識や技術が不十分で収蔵システムが確立しておらず、標本管理システムの標準化やそのトレーニング(博物館実習)を行う必要があります。植物では、EUが提供する標本管理データベースが導入されていますが、そのセンターはライデンにあり、Borneo島内での生物多様性情報集積・公開に直接的に役立っていません。サバ州内、あるいはアジア内のローカル・ネットワークに基盤をおく、標本管理データベースを早急に整備する必要があります。

2) サバ州における生物標本と生物多様性情報データベースネットワーク構築のための調査の第2回目として、11/20日サバパークス博物館(キナバル公園博物館)調査実施しました。サバパークス博物館では、エクセル・シートによる収蔵標本のリスト化が90%行われており、サバ州内でもっとも整理されたコレクションを保管しています。しかし、標本点数が少ないこと、収蔵標本リスト化の項目に不備があること、同定レベルにばらつきがあること、標本情報のデータベース化、公開に関する計画が未検討であることなどの問題点があり、標本管理システムのトレーニング(博物館実習)や専門家による同定支援、あるいはサバ公園局管理自然保護区での標本採集支援を行う必要があります。

3) 森林局研究所およびサバパークス博物館(キナバル公園博物館)の標本点数、管理システム、生物多様性情報データベース化の状況が明確になりました。これによって、サバ州における標本管理およびデータベース情報の構築、さらにはそれの共有化をどのようにおこなうべきかが明らかになってきました。また、BBEC主催国際会議での資料としてボルネオ島のコレクションと管理に関する冊子を作成しました。また、研究機関の生物多様性に関わる研究興味・テーマが整理・リスト化されました。

4) サバ大学熱帯生物学・保全研究所では、コンパクターをつかった大型コレクション管理に関する知識・経験が不十分のため、標本管理に関する指導が必要です。また、学芸員がおらず、教員・研究スタッフが標本管理を行なっているため、教員・研究スタッフによる標本整理・保管の体制作りも必要である。大型コレクション管理・公開に必要な標本管理データベースを導入する必要があります。

5) サバ大学熱帯生物学・保全研究所の昆虫標本収蔵庫に標本箱九千箱を収納できるコンパクター式収蔵戸棚を設置しました。コンパクターをつかった昆虫標本管理方法の指導を実施し、標本の仮保管庫からコンパクターへの移動・配架と整理を開始しました。

6) 分類学研究野工場のためSEM(電子顕微鏡)設置し、サバ大学ITBCのスタッフに対して、基本的な操作方法の実習がおこないました。昆虫標本室にコンパクターシステムおよび電子顕微鏡が設置され、収蔵機材や研究基盤の不備が埋められてきました。サバ大学に集積された動植物の標本の整理や収蔵品目録、チェックリストの作成・公開への体制、分類および多様性研究の基礎が確立されました。

7)  Database Management の小冊子を出版しました。これは、7月に開催したワークショップの成果品です

BBEC参画機関に在籍する研究者の研究テーマ等をカタログ化するとともに、BBEC活動下での研究テーマの整理や統合的な研究体制創出のために、ワークショップを実施しました。研究活動のカタログライズ会議では、各機関の研究者・専門家のBBEC活動への理解がまだ不十分です。各研究者のテーマの主張に終始し、サバ州での生物多様性解明とその保全手法確立のためには、各研究機関の枠をこえた共同研究体制、あるいは学会設立が求められることが理解されていません。今後、そのことの理解を進めるため議論を深めていく必要があります。

上へ
閉じる

JICA