BBEC
ボルネオの自然
セガマ河下流域の動物たちとその生息域の保護策を考える

2002年4-12月
草野 孝久

2002年4月から調査を行った水野専門家によるとTabin野生生物保護区については、中心部や東南西の三方境界についておおむね良く管理され、野生動物の調査もある程度行われています。但し、北部境界域については州有地との境界が明確でなく、Tabin川を遡行した盗伐や密猟が多く,管理体制の強化が必要です。

その北側10-20km離れたKulamba野生生物保護区については、これまであまり調査がなされてこなかったのですが、湿地帯と低地林、草地生態系が混在し、テンバダウ牛やオランウータンなどの棲息が確認されました。開発が間近まで迫っており、境界線の明確化や管理計画の整備を急ぐべきであることも指摘されました。

Tabin=Kulamba間でSegama河下流域のTabin川とDagat川が交差する付近の川辺林を、水野専門家と野生生物局のスタッフに私も参加し6,7月に調査したところ、テングザル、オランウータン、シルバーラングール、ブタオザルなどの霊長類が豊富に棲息すること、Tabin保護区内は低地森林生態系が中心で、保護区外に存在する川辺林や湿地帯が重要な棲息域となっていること、アジアゾウが村落やプランテーション内に出没するほどに生息域の減少が深刻になっていることなどを判明しました。

こうした報告を踏まえてSegama河下流域の保護区化申請をすることに野生生物局長が合意しました。日本であれば、まず重要動物種のモニタリングを行い生息域を特定してから保護区化の計画を練るところで、実際私たちの協力計画もそのようになっているのですが、政治的状況から急ぐ必要があるとのことで、野生生物局のスタッフに米田専門家、英国人コンサルタントと私とで、更に必要な情報、特に土地利用状況、土地の所有者、村落の状況、伐採の森林の状態・生息域としての復元の可能性などを調査し、結果を踏まえて保護区申請案の作成に入りました。

この地域での、キー・スぺーシーズ(重要種)をテングザル、バンテン、アジアゾウの3種としてモニタリングを進め生息域管理計画を練って行くことにしました。


テングザル(写真:水野昭憲)


希少種Smooth Otter(カワウソ)(写真:草野 孝久


ブタオザル(写真:水野昭憲)


村落に出現したゾウ(写真:水野専門家)

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